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なんてことない日常 1

「だいっじょ〜ぶ、大丈夫だからね、アキ。俺が絶対…お前のことを守る、からっ…ブブっ!」 今すぐにでもぶん殴ってやる 怒りで震える拳をギュッと更に強く握り示め、隣に座る夕の胸元を掴めば「きゃ〜暴力はんた〜い!!」だなんて耳障りな高音を上げながらクッションを盾に自分の身を隠し離れてしまった。 今更悔やんでも時既に遅く、過去の自分の言動を恨みながら手にしていたコントローラーから手を離し、ソファーに深く身を沈めて何度目かも分からない溜息を吐き出した。 「おはよ!!アキ!!あのねえ、新しいゲーム買ったんだけど一緒にやらない?」 「…ん、はよ。何、その新しいやつって」 「えっとね、後でのお楽しみ。ず〜っと欲しかったんだけど全然手に入らなくてさ。やっと買えたの!」 「ほぉ…ハードル高めな感じっすか。楽しみじゃん。んじゃ、学校終わったら今日はお前の部屋で待ち合わせって事で」 「おっけ〜!うわぁ〜ほんっっとたのしみ!」 朝から部屋のドアを元気に叩く音に、こりゃ珍しいもんだと制服のシャツのボタンを閉めながらドアを開けてその姿を確認する。 普段なら部屋まで迎えに行かなければ滅多に起きる事の無い夕からの朝の挨拶に短く応えれば、閉まらない様にとドアに背中を預けながら勢いの良い言葉に耳を傾けてみる。 なるほど、そりゃ早い訳だ。 そう言えばコイツは何かしらの新作が出る度にこうして朝一番にドアを叩き鳴らしてたな、と過去の記憶を引き出してみる。そりゃ休日関係無しに。 すんごい騒音被害を受けて来たものだと、今日が平日であり、そして結果的に朝早く起きていなければいけなかった状況にほっと胸を撫で下ろす。 休みの日に朝早く起こされるのだけは勘弁だわ。 まあ一緒に過ごす時間が増えるなら断る理由は無く、ゲーム好きとしても興味が引かれる内容に嬉々として返事を返せば、まだ終えていない身支度を済ませる為に夕を中に招き入れ、その間待っている様に告げる。

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