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なんてことない日常 4

学校に併設される様にして立ち並ぶ寮までそう遠く距離自体が離れてる訳も無く、ましてや普段の登下校時間合わせて10分程度の距離間で。 急かされるまま結果的に校門から出て5分も掛からずとして寮の敷地内に辿り着く。 結局1度も互いの距離が離される事は無く、部屋の鍵を開けるから。そう言ってやっと開放された腕を擦りつつ、「お邪魔しまーす。」そう声を掛けて夕に続いて部屋に上がらせてもらう。 最早定位置となっているソファーまで向かい、寛ぐには窮屈なブレザーを脱いで皺にならない様にとソファーの背もたれに畳んで置けばその心地良さに身を沈めて 「んで、結局何なの?今からやるヤツって」 「まあまあ、そう焦らない。やってみてからのお楽しみ〜って言ったでしょ?」 途中で行き先を変えて寝室へと向かった夕が、上下スウェット姿のラフな部屋着でリビングまでやって来る姿に視線を向ける。 着替え途中に乱れでもしたのだろうか、解かれた髪の毛を手櫛で整えながら、ハーフアップに髪型を変え直す姿をぼんやりと眺める。 さり気なくゲーム内容を問いかけてみたが、諭す様に「待ってて」と返されてしまった。 今まではプレイ中でさえも止まらぬ新作への熱弁している優だからこそ、自ら話を途絶える姿に妙な違和感を覚えつつも、まぁ、確かにそんな焦る程でも無いかと悠々と構える事に決めては、鞄の中から取り出した携帯画面を確認して。 「俺も何かする事ある?手伝うけど」 「いや、だいじょーぶ。俺一人で出来るよ」 のんびりとゲームの準備を始める夕の後ろ姿を横目に確認しながら、時々手伝いの有無を問いかけていたのだが特に必要は無いと。 好きにしてて、そう告げられた言葉を素直に受け入れる事に。 あぶねえ、忘れる所だった。手馴れた操作で最近ハマっているアプリゲームを開けば、ログインボーナスを無事受け取る事に成功。ついでにステージでも進めておこうかな、なんてポチポチ指先を動かして。 「よし、準備出来たよぉ。お待たせしました〜っと。ほら、寄って寄って〜」 「ん、あざす。…え?ちょ、っと狭すぎませんかねえ?!」 丁度キリよく終えたステージで夕からの声が掛かればアプリを閉じて携帯をテーブルの上へと移動させる。 此方に歩み寄るその手から渡されたコントローラーを受け取れば深々と背もたれに預けていた身体を起こしながらついでに体勢も変えようか、と腰を上げた瞬間、無遠慮に何故か身体を押されソファーの縁ギリギリまで追いやられてしまった。 何?どういう事??声を荒らげ、慌てて身体に力を入れ直し足を踏ん張る事で壁に激突せずに済んだものの、結局夕と壁に挟まる形で何故か落ち着き、そのまま平然と始めようとする姿に静止を掛けて 「待て待て、どう見ても可笑しいだろコレ。俺の視界今、お前と、壁だけ。画面じゃなくて俺を見ろ」 「あら〜大変そう。あのね、ちょっとだけ待っててくれる?今俺忙しくてさ、後で沢山アキの事見てあげるからちょっと待ってて」 設定とかしないといけないし、遠いと見えないじゃん。なんて続ける言葉に、んじゃお前と俺の場所を変えたら良いんじゃねえの?そう問い掛けても、「ん?よく分かんないそれ〜」と適当な言葉ではぐらかされてしまう。出た、都合の悪い時の名台詞。俺の方がよく分からんわ。 結局意図を理解する事も出来ぬまま、無駄に動けばまた何かしら窮屈な状況が出来上がるだけだろう、と大人しく不憫な一時を過ごす事に決めて。 壁に頭を預けながら手元のコントローラーを弄ったり、暇を持て余す。時々ゲーム画面から不穏な音楽が聞こえてくるが、まぁ、なんかよく訳の分からない敵と戦う時のBGMで使われてるよなそんなもん。 ゾンビとかバケモンとか、まぁモンスター系みたいなやつ。

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