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なんてことない日常 5

「アキ?待たせてごめんね。どうしよっかなぁ...先にこっち向いてもらって」 「終わった?んじゃあそろそろ寄って貰う事、とか……って、違うだろ。そう言う事じゃねえって」 そろそろこの圧迫感にも慣れてきた頃合、名前を呼ぶ声に意識を戻して壁に寄せていた顔を上げる事に。 取り敢えずこの状況をどうにか改善してくれないか、と声を掛けながら夕の言葉に合わせて顔を向けてみれば、何故か首元に回された両腕に近付くお互いの距離。 額同士が触れ合い近過ぎる距離感に何故か離れない視線から、なるほど。今、俺を見てるのか。そういやさっきそんな事を言ったような。 都合良く言葉を選ばれたもんだ、と合わさったままの額同士の間に指先を差し込んで夕の顔を押し返せば、今はそうじゃない。そうハッキリと告げて距離を開ける様に、そう背後のスペースを指し示して 「は〜?あ〜あ、俺今めちゃくちゃ傷付いちゃったぁ。アキが、俺の事拒絶した」 「馬鹿。んで、これどうやって進めんの」 表情を歪めて泣き真似のつもりなのだろうか、顔を覆い大袈裟に感情表現をする夕の姿を横目に確認する。 このままコイツのペースに合わせてたら何時まで経ってもゲームまで辿り着けない、そう悟り対話を放棄しては腰を上げて立ち上がり、夕の背後のスペース、元いた場所から反対側まで移動し広々と座り直して。 まぁそんなにサイズの大きなソファーでも無い為、結果的に夕との距離が離れた訳では無いがそれでも先程とは全く違う広々とした座り心地に機嫌良く口許を緩めて 「……そんなにアクションとかある訳じゃないから、そのボタンでアイテム拾って、走る時はこれ。決定ボタンとか、後細かいとこは触りながら覚えてくといいよ」 相手にされない事に気付いたのか、顔を隠していた両手を降ろして今度は不機嫌な表情のまま、ムスッと唇を尖らせていて。 それでも丁寧に操作方法を教えてくれる夕の言葉に合わせて手元のコントローラーのボタンを押しながら動作確認を行う。 そんなもんか、と一通りその場でキャラクターを操作しある程度手順を頭の中に叩き込めば、続けて語られる目的やストーリーに相槌を返しながら、ふと、画面上で動く可愛らしい女の子に疑問を向けて。 「その子が、俺って事だろ。お前はその子の兄ちゃん視点って事か?」 「そうそう。この子達は兄妹でねぇ、俺達一緒に協力して進めなきゃいけないの。片方が死んだら、もう片方も死ぬ。だからなるべくそれを回避しなきゃいけなくて」 「……、死ぬ?ここから逃げ出せとかそんな感じ?」 「まあ、そんなもん。脱出ゲームみたいな。あ!ほら、始まったよ」 どうやら下校後の小学校を設定としたストーリーなのらしい。背景の雰囲気から此処が何処かの教室内だと確認する。流れ始める2人の会話内容に視線を向けながら、何から始めたら良いのか、次の行動手順を確認して よくある好奇心から誰も居ない学校に忍び込んでみたのだが、突然謎の現象で永遠に学校から出る事が出来ないと。 なるほど、その謎を解決しろ、って感じか。真剣な眼差しで画面を見つめながら、夕の操作するキャラクターから離れ過ぎない様に後を追い掛け、まず先に、と校内の構造から確認して

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