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なんてことない日常 12

「はぁあ〜今からアキの裸見れるとか、ヤッタ。嬉しすぎ」 「……それがお前の本音か。別に良いけど、俺はさっさと入って出るからな。...言っておくけど、期待もクソもねえぞ」 「え〜?一緒に湯船とか入ろうよ。こう、ぎゅ〜って抱き合ってさ。よく漫画とかドラマとかで見るでしょ?好きな人同士であったかいねぇ〜って言いながらラブラブしてるとこ」 「無理。そもそも湯船苦手だわ俺。逆上せる。以上、早く脱げ」 素直に下心を暴露する言葉に視線を横目に向けて呆れた表情を。わざわざ自分から掘り下げる事も無駄な話の展開に繋がるだけだろうと必要以上の反応を避けては、早めに会話を切り上げながら脱衣所のカゴの中に借りた部屋着を置いて。 ただでさえ既に狭い脱衣所に長居する訳にもいかないだろうと手早く脱いだ衣服を側に避けて置いて居れば、「良いよ、一緒に洗うから入れといて。ついでだし」と洗濯機の中に衣服をまとめてくれるその気遣いだけは、素直に認めよう。そう言う所が大事だぞ、と。 「うわぁお!なんだ。アキ、ちゃんと金玉付いてるじゃん。ダブルだね、俺と一緒」 「お前、人の裸見て言う一言目がそれなの?そりゃ付いてるに決まってんだろ、俺の事なんだと思ってんの」 何か聞き覚えのある言葉だな、そう気付いてしまうが予想外の言葉選びに、はぁ?と分かりやすく怪訝な表情をして見せ。 え〜そうなんだぁ、ゴメンね?そう続けながら此方まで伸ばされる両腕。 あ、コイツまた。とその意図に気付けば触れられる前に、と先に風呂場のドアを開けて中に入り、シャワーを手に取とると湯加減を調節して。 「なあ、夕。普段どの位の温度でシャワー浴びてんの?これ位で良いか?」 「ん、大丈夫。丁度良い感じだよ。どうぞ、先に使ってて」 人それぞれ湯の温度に好みが有るだろう、そう気付き遅れてドアを開け入って来た夕にそう問い掛けてはみたが、腕を伸ばして軽くシャワーを手を当てて確認するだけで特に気にはしないと。 腰掛を足元まで引き寄せ、そこに座りながら髪の毛を解している夕の言葉に甘え、んじゃお先に。と頭上からシャワーを浴びては全身が濡れた事を確認し、頭を洗う工程に取り掛かって。何だか背後からの視線が痛い気もするが、まあ気にしない事に。 「ねえ、あのさ。もし、俺達がえっちするとして、アキなら入れる方と入れられる方、どっちが良い?」 「……その質問、今?さあ、どうだろうな。その時の気分で良いんじゃねえの。どっちの立場もよく分かんねえし」 泡が目の中に入らないように、と普段からの習慣で瞳を閉じながら髪を泡立てて居れば、突然の問い掛けに怪訝な表情を浮かべてしまい。 何故、このタイミングで、わざわざ?そう疑問を抱いたが、まぁ、いずれは経験するであろう場面を想像し、一度手を止めて。 所謂男子校と呼ばれる集団生活の中で、今更珍しい事でも無い同性同士の付き合いに俺ら二人も勿論当てはまる訳で。 経験こそは無いが、周囲からの入れ知恵や当然の様に繰り広げられる痴話喧嘩や触れ合いを楽しむその他生徒。男同士で。 そりゃ目も慣れますわ。 そんなこんなで抵抗無く夕の意図には気付いたが、正直どっちが良い、そう聞かれてもピンと来ないのが本音で。 よく見られる身長差カップルや一目で分かる顔面の強弱。それならば話も早いだろうが、そもそもお互い体格差も対して無ければどっちが、そう問われても周囲も首を傾げるであろう。 考えては見たが、結局よく分からない。そう答えては洗い終えた頭を洗い流すべく、シャワーを手に取って泡を落として。

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