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ふたつの雪だるま 6

「悪い!お節介で俺が色々口出しちゃってさ、引き止めてたんだわ。……その、友達さん?すんごい沢山取ってるじゃん。上手いのな〜!」 「ま…あ。欲しい物が結構あった、から」 「そうなんだ?お!俺達気が合うかも。そのぬいぐるみの作品ってさ、最近続編が出てた奴だよな。クッソ難しくて中々クリア出来ないんだよね」 「………、あの、装備とか色々育てないといけないから。……何、使ってるの?武器、とか」 迫力の強い彼の目の前、俺と同様に警戒しているのか背後でコートを掴みながらそっと俺の側から顔を出す形で、自分に話の流れが向けられるとは思ってなかったのらしく驚きながら、それでも好きな作品の事だと分かればポツポツと返事を始め。 会話をしてみれば軽いテンポに人の好い笑顔や態度で段々と解され、更には夕が最近大好きだと大ハマり中のゲームの会話を始める頃には俺の隣に並び、身を乗り出す様に会話を始めるその姿。 気付けば同じ趣味の会話で盛り上がる2人の姿をぼんやりと眺めながら、手元の箱に視線を戻してみたり、と急な疎外感にぼーっと会話が終わるのを待ち。 「あのステージな〜!分かるわ。広すぎて見えないんだよね敵が。…………って、あぁ…またやっちまったな、俺。でも、めちゃくちゃ楽しかったわ、ありがとな。」 「こんなに詳しい人と話せたの初めてで、嬉しかった!俺の方こそありがとう!お兄…さん?」 「お兄さん?止めてくれよ、確かに落ち着いてるってよく言われるけどさ。多分…俺、2人と同じ歳くらいかな〜とか、勝手に思い込んでたんだけど。……いくつ?」 漸く話の区切りが見えた頃には夕のぎこちない雰囲気も無くなり、むしろ逆にニコニコと始終嬉しそうな笑みを浮かべ会話に夢中になっていて。 そんな姿を前にしては、趣味の合う友達を見つけられた事を素直に喜べない自分の深い心の奥底の感情に気付き、汚いもんだ。と無理に押し込んで気を逸らしていれば、「俺らは17!」と年齢を告げる夕の言葉に賛同する様、こくりと頷いて。 「17?なんだ、やっぱり!俺も一緒。何だかんだで気が合うかもな〜俺ら。因みに、俺の名前教えてていい?多分此処でまた会うだろうし。霧崎 嵐。覚えてろよ〜ちゃんと」 「あらし、ね。カッコイイ名前〜!俺は白川夕!んでこっちがね、アキ。俺の大切なお友達」 「夕に明樹ね。……っわやべ!俺待ち合わせしてっからさ!先に行くわ。またな!!」 互いに弾む会話と自己紹介。俺の分まで紹介してくれた夕に任せる事に決めては、ぺこりと軽く頭を下げて。ふと、急に思い出したかの様に手元の時間を確認する彼の姿。忘れてた!と慌てて店内を駆けていくその後ろ姿に軽く手を振って見送れば、改めて夕に視線を向けて他に、と背後を指さして。 「夕、他に見たいもんある?付き合うけど」 「もう大丈夫そう。全部回ったけど後は欲しそうなもん無かったし」 首を振り否定する夕に、そうか。と短めに応えそれならばそろそろ店から出るか。なんて声を掛けて。 すると、突然背後から引かれる腕。何事かと視線を向けてみれば互いの鼻先が触れ合いそうなまでに近付く距離。何かを見透かす様な鋭い視線が俺の瞳を覗き込み、一体何だと瞳を細めて。 「ねえ、何か俺に言いたい事とかさ、そんな事あったりしない?」 「何急に。別に何も無いし、近過ぎるわバカ。外でその距離はやめろ」 「ほんとにぃ?俺さ、結構アキの事なんでも分かるんだけど。その目にね全部答えが書いてあるの」 「んな事ねえだろ。訳わかんねえ事言ってないで、さっさと出るぞ」 外される事の無い視線。確かにこれまでに確信を突くように妙な勘繰りをされてきたなと思い出せば、今、この場で変に問い質されてしまうのも気が引けると、足元まで視線を落とし、瞳を伏せて。そのまま顔を逸らして不自然に近い互いの距離感を指摘しては、思いの外長居していたのらしいゲームセンターでの時間に気付く。 腕時計を確認してみれば昼食時を指し示すその時刻。感じる空腹を満たすべく、次の行き先として提案してみて。 「なあ、そろそろ腹空かねえ?そこら辺の店に入って飯食いてえわ」 「大賛成!俺もちょうどペコペコだなぁって思ってたんだよなぁ〜!何処がいいかな?」 飯、と聞けば嬉々として隣に並ぶ夕を横目に確認する。 街中の一角に隣接していたゲームセンターから出てみれば周りは複数の人が行き交う栄えた場所で、飲食店も様々な種類が有ればどれにしようかとワクワクとした表情で店先の看板を覗き込む夕に続いてそのメニューを確認して。

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