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※ ふたつの雪だるま 11
流れる様に俺の胸元に顔を近付けた夕の舌が、俺の胸元を這う感覚が伝わってくる。時々痕を散らばせる様に口付けられる感覚と、胸の突起に舌が絡まる度に擽ったい様な、妙な感覚がそこから生み出される。
「気持ちいい?」
「⋯⋯さあな。⋯擽ったいだけだけど、今は」
「う〜ん⋯まあ⋯⋯最初はそんなもんだよねえ」
俺の反応を確かめるように夕の視線が俺の瞳を捉える度に、まだ目立つ反応を示す程の感覚が生まれてない事を正直に告げる。
舌先で何度も捏ねる様に夕の舌先が這う度に、ジンジン、とそこから血流が巡り、やがて温かさを感じると共に少しずつ妙な感覚が生まれてくる。
擽ったさの奥底に心地良さが混ざるような、それが快楽にも似た感覚だと悟る。
反対側も指先で軽く押し潰されたり、指腹で優しく撫でるようにと強弱をつけて触れられている。
「ねえ⋯指と口さ、どっちが気持ちいいの?」
「⋯⋯口、じゃねえの。そっちの方があったけえし」
「そうだよねえ。じゃあ今度は反対側もやったげる。」
散々指先で捏ねくり回されたそこに軽く口付けられた後、生暖かい感触に包み込まれる。舌先が這う度に先程までとは明らかに違う、直接下半身に伝わる様な感覚が生まれ始めた事に気付いた瞬間、夕もその僅かな俺の反応の違いに気付いたのか、触れるだけの感覚から刺激だけを与える様にそこを舌先で押し潰したり軽く歯を立てたり。
「⋯⋯!!ん゙ッ⋯⋯は、ぁ」
唇の間から漏れる息を呑み込みながら素直に与えられるがまま、刺激に身体を委ねる。ビリビリと胸元から伝わる熱が俺の下半身に集まり、そしてやがて膨らみを増していく。
が、それは俺だけじゃなかったのらしい。
俺の太ももに擦り付けられる様に夕の下腹部が当たっているが、本人は無意識なのか俺の胸元に夢中で揺れる自分の腰に気付いてないのらしい。
このまま胸元の刺激に集中してしまうのも良いが、疼く下半身の熱を持て余してまで優先させる必要は無いだろう。
正直、さっさと下腹部に触れて熱を解放してしまいたい。
徐に腕を伸ばして夕の額に触れ、そのまま押し返す様にグッ、と力を入れながら俺から距離を離してしまえば同時に俺の身体も起こしてしまう。
「⋯⋯っ、な、に⋯?!⋯⋯また⋯俺の邪魔してる⋯?」
「ちげえよ。お前のチンコがさっきから俺の足に擦り付けられっから気になって仕方がねえの」
「そんなこと⋯してた⋯⋯?」
「やっぱ気付いてねえよな」
俺が身体を起こした事で互いに向かい合う様に無理矢理変えられてしまった体制や行為の中断に対して、流石に夕の眉間には皺がグッと寄せられて分かりやすく怒りが表現されている。
だが、こうしてるのも全部コイツが原因だと素直に告げてやれば、やはり無意識の行動だったのか次の瞬間にはキョトン、とした表情が浮かべられている。その間に今度は夕の胸に手を当て、力任せに背後に押し倒してしまえば顔を覗き込み、言い聞かせる様に言葉を並べて。
「お前のヤツも一緒に触ってやるから静かに寝てろ」
ある程度の自由を奪う為に夕の脚の上に跨る様に乗ってしまえば、夕のモノを下着の中から一気に引きずり出して手早く俺自身のも一緒に取り出してしまう。
2つを両手で束ねる様に合わせて握り締めると、指先に力を込めながらゆっくりとその手を上下に動かして。
「⋯⋯っ、これえ⋯やばい⋯⋯かもっ⋯⋯!」
抵抗する間を与える事無く始めたそれが案外気持ち良かったのらしく、俺の手の上に夕の手が重なって一緒に動き始めてしまえばそっと俺の手を引いて、全てを任せてしまう。
その手の動きに合わせて緩く腰を揺らし互いのモノを擦り合わせる事で更に刺激を与えながら、夕のモノから溢れ出る先走りをその先端に擦り付ける様にすくい上げて軽く指先で触れてみれば、より一層、目の前の身体がぶるり、と震える。
「ん、あっ!!⋯は、あ⋯⋯!」
素直に快楽に身を委ねる夕の溶けた表情に、俺の視線が止まってしまう。
俺と自分のモノを夢中で扱きながら、快楽に身を震わせている。
俺の顔も多分普段よりは崩れているのだろうが、それでも夕の様に素直な感情表現は出来てない事くらい簡単に察する事が出来る。
──それにしても欲にまみれたコイツの顔を見ていると、どうしても加虐心が生み出されてしまう。
それが普段の甘えやわがままから表現される崩れた表情や泣き出しそうなものであれば庇護欲として対応出来るが、行為中で有れば尚更、無防備な状態が多いからこそ普段は抑えている衝動性が増してしまう。
まあ今更⋯我慢する気など更々無いが。
再び夕の先端部分を指先で撫でる様に触れると共に、次から次へと汁を垂れ流しているその割れ目に合わせて爪先をグッ、と押し付けてそのままグリグリと尿道を押し開く様に触れてみる。
「ッい゙っ、だ!!?!⋯あきっ!!」
「少し触ってみただけだろ。別になんもしてねえよ」
あくまでもこれは愛撫の種類だと誤魔化す様に、再度夕の手の上から俺の手を重ねて力強く互の物を擦り合わせる事で下半身に意識を逸らせて。
その間にもさり気なく先端部分を引っ掻いてみたり、割れ目に合わせて爪先を押し込んで居ればその都度夕の口から溢れる苦痛の声に反して目の前のソレはビクビクと震え質量を増している。
⋯⋯痛えのが好きってか。
普段から怪我の多いコイツの事、痛みに慣れているとは言えどそれが快楽にも変わってしまう事をこの一瞬の出来事で悟ってしまえば、苦痛に歪む夕の表情で俺自身もゾクリ、と反応を示してしまっている事には気付いていた。
俺もコイツも、お互いに歪んだモンを持ってんだろうな。
それが行為中であれば尚更、分かりやすく実現されてしまう。
やがて限度を迎えるかの様に夕の手の動きが早くなってしまえば、それに伴い俺自身も強制的に絶頂を促されてしまう。
「⋯⋯ッ、ッ゙⋯!!」
「あきっ⋯!おれ、もうっ⋯イく、から、あッ⋯!!ンッ、ん!!」
最早重ねただけとなってしまった俺の手は今となっては意味を成してなくて、指先が食い込む程に力強く握り締められたまま何度も激しく上下に扱かれるその手の動きは自分で触る時よりもキツく、正に痛みを好む手付きそのものであった。
丁寧さとは掛け離れ、乱雑に扱かれる度に震える身体を何とか歯を食いしばって耐えながら、今更コイツに任せてしまった事を後悔してしまう。
やがて俺の下でドクン、と夕の身体が震えると共に互いの手に注がれる精液は下腹部を汚し、とめどなく溢れ続けていく。
それはコイツのものかそれとも俺のモノか見分けがつく筈も無く、達した余韻に全身が包み込まれたまま乱れた呼吸を整えながらぼんやりと思考を飛ばして。
「⋯もっかいやる?」
「馬鹿が⋯もう良い。」
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