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※ ふたつの雪だるま 12

もう少しだから、そう言い聞かせる様に耳許で囁けばギュッと口を閉じて眉を寄せ、快楽に悶える姿。 欲にまみれた目の前の表情、俺の言葉通りに抵抗を見せるでも無く必死に耐える姿がとても愛おしいとドクン、と胸が高鳴る感覚を覚える。 互いのものが擦り合わされる度にドクドクと脈打つソレ。次第に溢れ昂ぶる欲に気が付けば、そろそろ限界が近い事を悟り。 与えられるがままに快楽の波に溺れている目の前の夕の姿。そっと、その欲を閉じ込めていた指先の力を抜いて液で濡れた手の平で再び互いのものを包み込む様に握り合わせては、やがてその欲を放つ為に揺れる腰の動きも段々と激しいものになり。 塞き止められていた欲が解放される事でビクリと震える目の前の身体。待ち焦がれた絶頂を迎えるべく、両手を俺の首元に回せば唇同士を押し付けながら、びくり、と身体が震えると共にやがて放たれる二人分の白い液体。 一人の時とはまるで違う、濃い快楽が全身を伝いそして芯まで痺れる様な強い快感に乱れた息を漏らしながら、目の前の胸元に力の抜けた身体を横たえて。 「っ、は…ぁ……結局服、汚れちゃったわ」 「……だから脱ごうって言ったのにぃ…」 「シーツじゃないだけマシだろ。汚したら片付けとかですぐ寝られないし」 放たれた精液の着地地点は見事に互いの衣服の上で。ベタベタとした液体で汚れた衣服に「あーあ」と肩を落とす夕を目の前に、まあ、どうせ衣服で無くても何処かしらは汚れて居たであろうと、その真実から逃れる事は出来ない事を告げて。 欲を放ち熱を持った身体に冷えた室内、何とも心地の良い空間に口許は自然と緩み、呼吸の度に揺れる目の前の胸に身を寄せながら暫く達した余韻に浸る。 だが、間も無く下半身へと伸ばされる夕の腕。互いの放たれた液を拭い取る様に指先に絡める姿を視界に捉えては、何事だと静かにその行方を見守り。 射精後でズレたままの下着の奥に背後から押し込まれる指先。まさか。と反応を示す間も無くそのまま尻の間の割れ目に触れ、その窪みに指先の液体を塗り込みながら差し込まれていく感覚。 流石にそればかりは予想外だと慌てて胸元に寄せていた身体を起こし、背後に腕を伸ばしてその動作を止めるように夕の腕を掴めば、鋭い視線を目の前の顔に向けて。 「な、に勝手な事してんのお前。ちゃんとその時は話し合う、って言ったろ?」 「えぇ?そうだっけぇ?でも、今日は俺が入れたい気分なの。お願い!優しくするから」 「はぁ?そんな事も忘れてる奴に、じゃあ良いよ。って許されるとでも思ってんの?」 「いいか、らっ。大丈夫。ゆっくりさ、やってくから。安心して?」 答えの見えない押し問答。はて、と初めて聞きました。とばかりに緩く首を傾げるその姿に、それならば安易に身を任せる事は今後の為にも出来ない。そう判断を下し、そのまま背後の指を引き抜く為に腕に力を込める。 が、こう言う時に馬鹿力を発揮してしまうその細い腕。何処にそんな力が有るのだと毎回謎だが、逆に腕を掴まれて上体を軽く引き上げられては、俺の下から身体を退かしてしまう夕の姿。 そのまま支えを無くした俺の身体は俯く形でベッドの上に押さえ付けられてしまい、すかさずその腰元に乗り上げた夕の重みで容赦無く押し潰されてしまう。 「ぐえっ」と喉から漏れる声と共に、やられた。と気付いてしまった時には既に遅く。腕に力を込めて押し返してやろうと上体を浮かすが、人一人を体の上に乗せたまま起き上がれる腕力がある訳もなく。 ムリだわ。と潔く現状を諦め、そのまま無様にもベッドに身体を沈める形で力を抜けば、盛大に息を吐き出して。 「っおまえ、なぁ。………やるなら、ゆっくり、にしてくれよ。痛いのは嫌だわ」 「はいよぉ、元からそのつもりですよ〜」 調子良く応える夕のご機嫌な口調にうんざりと肩を落とす。 俺の言葉を承諾と捉えたのか、中に埋められた細い異物がムクリ、と動き出し、その中を探るように奥へと進む。何とも言えない感覚から意識を逸らすべく、息を吐き出して異物感に耐えて。 「まだ、1本目だから痛くないでしょ?他は?どんな感じ?」 「どんな感じ、って、言われて、も……困る…ってしか言えねえわ」 「何それぇ。言葉がむずかしい」 多分今、唇尖ってるだろ。お前。と見えぬ夕の表情を指摘してみれば、「お!せいか〜い!」だなんて喜ぶ声。 声色ですぐに表情が想像出来てしまう。 分かりやすい反応に、だろうな。と一言返せば当てた事で何かがある訳でも無ければ宛もなくシーツに寄せた頬から感じるその柔らかさに、ふと身体の力が抜けていく様を感じて。

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