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※ ふたつの雪だるま 13
確かにまだ一本目、特に何かしらの感覚も殆ど無く、反応の薄い俺に、じゃあ次。と二本、いや、三本まとめて宛てがわれる指先。そのまま中に埋められていけば、突然の刺激に何事かと上体を起こすが背後の状態が見える訳でも無く。
ギチギチに埋められてく内部の感覚に息を呑めば、流石に痛覚さえ感じてしまうその行為に先程忠告した筈だが、一瞬で忘れ去られてしまった口約束。
強引に割り開かれてくその動作を止める様に、硬く握りしめた拳で背後に居るであろう夕の腰辺りを目掛けて殴打して。
「っ、い゛!!っ、てえなおいコラ!!今すぐ抜かねえと殴るぞっ…んの馬鹿が!!」
「だぁっ!!いてぇ〜…もう殴ってるじゃん!……だって、2本だとまだ足りないだろうし、それなら3本必要でしょ?俺の指」
「……必要じゃねえって、分かったよな?今。すぐ減らせ」
「も〜ぉ、分かったよ…良い?じゃあ、一つだけ指抜くからね?絶対グーは止めてね!」
見事にクリーンヒットしたのらしい俺の拳。流石に脇腹は堪えたのだろう、渋々と引き抜かれる指の感覚。
一本減るだけで消える圧迫感に胸を撫で下ろしつつ、それでも消えない異物感に眉を顰めてなるべく協力的に、拒んだ方が痛いだろうと素直に受け入れる意思を固めては、深呼吸を繰り返しながらその指先が呑み込まれていく様に身を委ねて。
狭い内部を押し広げる様に動く指先。時々関節部分を曲げて肉壁を爪先で掠めながら刺激を与えられていく。 普段の排泄時とは異なる、別の感覚がその箇所から伝わるような、そうでないような。
未だ掴めぬ快楽を無意識の内に探し求める様、逃していた意識を下腹部へと向けて指先から与えられる刺激に集中して。
「ん〜、そろそろ良さそうかも。なんか、柔らかくなって来た気がする」
「ゆっくり、だからな。次も同じ事したらまたグーで行くぞ」
「ハイハイ。でさ、どう?おしりの中。気持ちいい?」
「まだ、よく分かんねえかも。なんか、変な感覚は有る気が、するけ、ど」
素直にまだ感覚が掴めてない。そう告げては再び増えるのであろう指先の感触に耐えるべく、グッと額を目の前のシーツに押し付けて。
だが、ふと軽くなる腹部の重み。再び掴まれた腕に引き寄せられるがまま、反転する視界や身体に気付けば、背中に触れるシーツの感触から向き合う体勢に変わったのだと気付く。
感じていた負担が消えた事でスムーズな呼吸に広がる視界。
自由な空間でぼんやりとする間もなく、足元で胡座をかいて座る夕の足の上に俺の腰が降ろされては宙に浮く脚。
股の間に居る夕の身体に添わせる様に、両脚を軽く曲げる事で落ち着けば再び動き始める内部の指に小さく息を漏らして。
「アキのちんこも一緒に触ったげる。そしたら気持ちよくなれそうじゃない?」
「……そうだと良いけど」
少しづつ、何かを感じ取れそうな気もするが、中途半端な刺激に先程までの激しく熱い欲を果たしたばかりの身体では物足りない。そう感じ取ってしまう。
俺のモノを掴んで上下に動く夕の腕。同じ様に中の指もバラバラに肉壁を掻き混ぜる様に、爪先が何度も中を掠めば前後から与えられる刺激に段々と積み重ねられていく快感。その度に荒く吐き出される呼吸。
顔の前で腕を交差して視界を覆いながら、与えられる快楽に身を委ねて。
「あ、俺の時はダメって言いながら、顔隠してるじゃん。あきだって。ちゃんと俺の目みてて」
「っ、う、るせ…!それとこれと、は話がちが、うっ…は、ぁ…」
「何も違くありません〜。俺もアキも、一緒でしょ?」
快楽と共に身体の芯から湧き上がる熱。
くだらない表情を見せてしまいそうだと伏せた視界をすぐに腕を引き剥がされる事で解放されてしまえば、気に入らないと目の前の顔を睨み付けて。
「かお、真っ赤っかじゃん」と笑う夕の顔に向けて両腕を伸ばし、腹いせにその頬を緩く摘んで引き伸ばせば「いたい」そう告げながらも嬉しそうに笑う表情。
嘘つけ。と対して力も込めていない為にそのまま、緩く指先で夕の頬を撫でながら柔らかなその感触に瞳を細めて。
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