54 / 82
※ ふたつの雪だるま 15
浅く抜き差しを繰り返していた指先は、柔らかく伸びる皮膚を確認すると共に深く、奥底まで差し込まれていく。
根元辺りまで全てを中に入れ終えたのであろう。やがてそれが前後の動作を始め、その都度奥を突く様に深く差し込まれては、行為にも似た感覚から与えられる刺激。
時々中を擽るように掠めていく指先や、押し広げる様に開く指先。
その内、中の不思議な構造に気付いたのか、動いていた指先が急に止まり、その一箇所を何度も擦り上げる様に指先で押し潰される。
今迄とは違うジワジワと腹の底から湧き上がる様な、そんな感覚に一度上体を起こして夕の腕を掴めば、静止をかけて。
「ちょ、っとストップ。………なん、か…そこだけ違うんだよ。さっきまでのヤツと全然」
「なに〜?ここ?ずっと触ってれば良い?気持ち良いって事?最高?」
「なっ!だ、から、っ……!!まて、って言って、んだけどっ…!!」
「だってさっさとやれって言ったのアキでしょ?それにいつまで俺の事我慢させるつもり?」
静止を掛けても止まらない夕の手が同じ箇所を擦り、指の腹を何度も軽く押し込まれてしまう。ギュッとその腕を握り締めながら、告げられた内容は確かにさっき俺が伝えた言葉。
言い返す余地も無く、やがてトントン、と中の方でリズム良く刺激を与える指先から不確かな感覚であった筈のソレが、確実に快楽へと変わり新たな刺激を見い出せば、先程までとは違う感覚に、制止する為に起き上がった身体の力が抜けて背後のベッドに沈み込んでしまう。
俺の変化に気付いたのか、尚も刺激を与え続けながら、そのしこりを指先でグリグリ、と押し潰されてしまえば漏れる声を抑える事も厳しく、何度も足のつま先を開いたり閉じたりと忙しなく動かしてみたり、荒い息を吐き出す事で徐々に高まるその快感を何とか身体から逃そうと意識を集中させて。
「っ!や、ば……あっ!く、っ……!!ふ…、う……っんん!」
「やっぱ、気持ちいいんだ。良かったね?アキ。いっぱい触ったげるから、沢山感じて、また出しても良いんだよ」
何度も何度も執拗に擦り付けられる指先はやがて再び挿入を始め。
わざとそこを掠める様に抜き差しを行われてしまえばその出入りでさえ心地良く、中全体が快楽を求めるかの様に蠢き夕の指に絡み付いて。
ふと、出したばかりの俺のモノが再び芯を持ち、熱を帯び始める。
頭を上げたそれは中で動き回る指先と共に快楽を拾い膨れては、刺激を求める様にビクビクと震えている。夢中で腕を伸ばして自分自身のモノに触れると、そのまま包み込んでしまう。
ゆるゆる、と扱く度に震える身体。
三度目の絶頂を迎えた頃には少しだけ色の薄くなった液体が量は変わらず飛び出し、再度腹部を汚して。
「っ、は……ぁ………。たの、む……ちょ、っと休憩……無理」
「どうだった?中、良かったでしょ?だって、最後アキ自分でちんこ触っちゃってたもん」
「わざわざ解説するな、って…の……っ…」
反論を返す事ですら怠い。と完全に脱力しきった身体を横たえながら、漸く引き抜かれた指先の感覚に気付けば取り除かれた異物感にふ、と胸を撫で下ろす。
確かに気持ち良さは今迄感じた事の無い位に激しく、そして夢中になってしまうものだが、如何せん何度も続けて達していれば体力が持つ訳が無い。
更には日中の外出も重なり、日々ゲームだらけの日常がこう言う時に弊害として現れるのだろうなと改めて運動不足を感じ。
だが、この目の前の男はへらへらと平然な姿を見せている。何だこの差は?
じっ、と眺める俺の視線に気付いたのか、緩く首を傾げ何かと問われるその言葉に、素直に言葉を返せば改めてその反応を待ち。
「お前さ、疲れてないの?今日寒かったし、余計体力減ってるだろ」
「ん〜、疲れたってか、楽しかったって気持ちの方が大きくてよく分かんないかも。……それに、俺いつもバタバタしてるからさ、それで鍛えられてるのかもしれない」
「……確かに。慌ただしいもんな、夕の事見てて思うけど」
普段から落ち着かず、必要以上な怪我をしてしまうその行動が俺と同じ日常を送っていても唯一違う点だと、改めて気付けば、なるほど。と妙に納得出来、核心をついていて。
俺だって落ち着きたい。そう溜息を漏らす夕を目の前に、助言の方法が分からないと、そもそもそれは無理な話なのではと敢えて思考を放棄しその答えを告げる事無く流してしまえば、熱の冷めない身体を投げ出しながらぼんやりと天井を眺めて。
「まだ?」
「あと少し」
「……まーだ?」
「だから、もう少しだってば」
何度も繰り返される問い掛け。
確かに果てた体力が少しづつ回復していく様を感じ取るが、それでもまだ足りないと静止の言葉を続け、かれこれ数分程度。
初めの内こそ控えめに問い掛けていた夕だが、段々と焦らされてく感覚に我慢の限度も近付いているのか、不貞腐れていく表情。
流石にこれ以上は待たせ過ぎか、と未だに熱を帯び緩く立ち上がっている夕のモノに気付き、妥協する事に決めてはゆるりと身体を起こし。
その場に座り込んで中途半端にズレたままの下着とズボンを脱ぎ捨てながら、そこに寝転がる様に、そう指示を促して。
「夕、俺と位置交代。寝っ転がって」
「ん〜?良いけど……この体勢、キツくない?多分めちゃくちゃ入ってくよ、俺のヤツ」
「お前に任せる方が怖いから、自分で挿れる。触るなよ」
素直に横たわる夕の上に再び跨る形となる。
突然指の本数を増やす夕の事、自由に任せてしまえば本能のままに無理に進められてしまう事も想像出来れば、自分自身で進める選択肢の方が安全だろうと一応釘をさして腰を浮かせる。
夕のモノをそっと掴んで股の下で固定させながら、ゆっくりと先端を入口に宛てがう。
勿論、躊躇してしまうのが本心だが、自分でと宣言した以上今更止めると言葉を撤回する気も無く。
やがて一呼吸吸い込めば意を決して腰の力を少しづつ抜いてくと、中を割かれる様に押し込まれていく先端部分。
丁寧に慣らして貰った後では有るが、指とは全然異なるその質量に唇を強く噛み締め耐える。
荒い呼吸を繰り返しながら、徐々に、少しづつ中へと受け入れ始めて。
「っ……あき、口、俺みたいに血出ちゃうよ」
「っぐ……!!い゛、っ……は、ぁ……!…へい、きっ…だから、っ……!」
「だーめ。我慢出来ないなら俺の指噛んでて良いから」
唇へと触れる夕の腕。
その指先が固く閉じる口内を押し開く様に力を込められては、大丈夫だと顔を背けるが、すぐにもう片方の腕で顎先を捉えられ、顔を固定されてしまう。
再び口内を割り開きながら挿入されていく指先。くちゅくちゅ、と中を掻き混ぜる様に歯列や上顎をなぞり、そのまま捉えられる舌先。二本の指で挟むように掴まれてしまえば、やがて口端から垂れ落ちる涎を空いた指先で拭いながら、口内を弄び始めて。
「良いよ、ゆっくりで。ずっと待っててあげるから」
「ひ、っ……ふ、はぁ……。ん、っ……」
口内へと意識が逸れた事で少し和らぐ入口付近。
そのタイミングを狙い徐々に、息を整えながら時間を掛けて夕のモノをゆっくりと呑み込んで行けば、やがて触れ合う互いの肌。
夕の下腹部に座り込む形で漸く全てが中に収まったのだと知れば、中を押し上げる異物感に、ふ、と息を漏らしながらその形を確かめる様に緩く中を締め付けて。
「っ……あ、のさ…俺、もう良い?だいぶ我慢したと思うけど、偉くない?」
「………良い、けど。初めからあんま激しく動くなよ」
時間を掛けて挿入した夕のモノ。その間大人しく待っててくれた事を思い出せばこれ以上待て。とは流石に言い出せず。
一応、念の為にまだキツく余裕は無いと制限を掛けては、分かった。と頷く夕の腕が俺の腰に回り、少しづつ、ゆっくりと下から突き上げる感覚に身を委ねる。
ともだちにシェアしよう!