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※ ふたつの雪だるま 16
俺の変化に気付いたのか、何度もその部分だけを重点的に指先でグリグリと押し潰されてしまえば、やがてそこから鋭い感覚が流れ始めてしまう。
それは刺激を与えられる度に俺の下腹部に直接的な快楽として、ビリビリと全身を伝っていく。
最初は抑える事の出来ていた声もやがてそれどころではなくなり、唇の間から溢れ出す度に夕の指先が執拗にそこばかりを掠めながら、奥深くへと指先を埋め込んでいく。
「ッ⋯!!く、ッ、⋯⋯!!ふ…、ッ、ンン!!」
何度も何度も同じ箇所を擦りながら、時々中をぐりん、と撫でられるその感覚でさえも、快楽として刺激の一部に変わってしまう。
わざと前立腺ばかりを掠める様に指の抜き差しを何度も行われてしまえばその出入りが更に心地良くて、中全体が快楽を求めるかの様に蠢き夕の指に絡み付いていく。
が、生憎その刺激だけではイけなかった。
既に絶頂を迎えても良い頃合ではあるが、俺のモノは膨れて汁を垂れ流すだけでイくにしては直接的な刺激がまだ足りないのらしい。
こんなにも中の刺激が心地良いと言うのに。
本能のままに自分のモノに触れ夢中で扱いて居れば、やがて俺の行動に気付いたのか夕の手がその上から重なり緩急をつけて俺のものまで刺激を与えていく。
その度に震え、今にも力を無くしてしまいそうな身体を支える為に夕の肩に触れている指先に力を込めて全ての意識を下腹部に集中させていれば、やがて声も無く静かに絶頂を迎えてしまう。
最初よりは少しだけ色の薄くなった液体が量は変わらず周りに飛び散ったその瞬間、ガクッ、と踏ん張っていた足の力が抜けて腰を下ろしてしまえば、乱れた呼吸を繰り返しながら目の前の夕の肩に額を押し付けて。
「良かった、ちゃんと気持ち良くなれたみたいで。⋯⋯前立腺って凄いでしょ?」
返事を返す気力さえ飛んでいってしまった。
完全に脱力しきった身体を夕に預けながら、やがて中から引き抜かれてく指先の感覚に気付けば取り除かれた異物感にフッ、と安堵の息を吐き出し、胸を撫で下ろして。
「アキ?もう、良さそう?」
「あと少し。」
「⋯⋯⋯まだ?」
「まだ秒しか経ってねえだろうが」
俺の身体を気遣い最初の方こそは静かに俺の背を撫でてくれてただけの夕にも、流石に我慢の限度は有るのらしい。
そりゃそうか。
何度も繰り返される問い掛けに対して軽く受け流す様に応えてやっていたが、やがてその間隔が少しずつ早まっている。
「⋯⋯もう良いんじゃない?」
「どう⋯だろうか。」
「大丈夫だって」
控えめな声色で告げられてたその言葉にも、やがてその先が見えない事に対しての焦りからか段々と不満が積もり始め、ちらりとその表情を確認してみれば明らかに不機嫌な感情が漏れ出していた。
──にしても、コイツのはいつまで経っても元気だな。
萎えるとかそんなもんねえのか
俺の事を待っている間も永遠に熱を帯びて立派に勃っている夕のモノを目の前にしていれば、その健気さ⋯⋯と言うか、素直な性欲に対してこれ以上待たせてしまうのは流石に気が引けてしまう。
⋯そろそろ相手してやるか。
よいしょ、と緩く声を上げながら腰を上げ、中途半端にズレて俺の足に引っ掛かったままだった下着とズボンを一気に脱ぎ捨てると、夕の胸に手を添えて背後に押し倒す様にそのまま力を入れてしまう。
「寝ろ」
「⋯⋯っびっくりした⋯!!⋯別に良いけど、この体勢⋯大丈夫?俺のものがすっごい奥まで入っちゃうと思う⋯けど」
「⋯別にそこら辺は自分で調整するから良い。⋯⋯俺にやらせろ」
俺に促されるまま静かに身体を横たえる夕の上に跨るような形で乗ってしまう。
なんと言うか、コイツの下でヤられんのが気に食わないと言うか、こうして見下ろす形で顔を見てる方がその表情の変化が分かりやすい、と言うか。
要するに夕の顔が見えやすいから、という安直な理由ではある。
改めて少しだけ位置を調整して腰を浮かせながら夕のモノをそっと掴めば、股の下で固定させながら、ゆっくりとその先端を入口に宛てがう。
やが深い呼吸を繰り返した後に腰の力を少しづつ抜いてそれを少しずつ俺の中に迎え入れていく。
ゆっくりと、息を吐きながら着実に呑み込んでいるが、丁寧に慣らした後とは言えど、指とは全く異なるその質量に対してまるで中を引き裂かれるような、そんな感覚を覚えてしまえば思わず息を呑み込みながら、ふと目の前の夕に視線を向けてみる。
俺と同じように余裕の無い表情を浮かべながらそれでも素直に俺の事を待ってくれていて、眉間に皺を寄せて刺激に耐えているその姿に対し、再び俺の奥底からゾクゾクと込み上げてくるのは明らかに分かりやすい支配欲だった。
相変わらず夕の事を目の前にしてしまうと俺の中で抑え付けてる筈の汚い感情が、ドロドロと簡単に溢れ出してしまう。
今すぐにでもその顔をぐちゃぐちゃにしてやりたい。
⋯⋯たまったもんじゃねえな。
「⋯⋯っ、あき⋯?」
俺の表情の変化に目敏く気付いたのか不安気に名を呼ばれてしまえば、何でもないと誤魔化す様にその勢いに任せて夕の全てを俺の中に、ズンッ、と入れてしまう。
「⋯キ、ッツ⋯⋯」
「ッ、⋯⋯!!も、っと⋯!ゆっくりで良かった⋯⋯のに」
「別に、良いっ⋯⋯。お前も、限界なんだろ?」
「そりゃそうだけど⋯⋯」
この場に及んでまだ俺の事を気遣ってくれるのか。
せっかく押し殺した俺の支配欲が、再び奥底でじわじわ暴れ始めてしまう。
そもそも既に危うい理性の中、一言だけ、『動くな』と意味合いも合わせて静かに言葉を並べてしまえば、ゆっくりと下ろしたばかりの腰を引き上げ、そして再び勢いを付けて一気に夕のモノを俺の中に押し込んで。
「お前は寝てるだけで良い。何もしないで、そこに居ろ」
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