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※ ふたつの雪だるま 17
俺が告げた通りに1ミリたりとも動かない夕を目の前に、俺の口許には自然と笑みが零れてしまう。
それを隠す様に俯きながら、何度も腰を打ち付ける度にやがて俺の中を埋め尽くす様な圧迫感や中を強引に押し広げられる痛みが和らぎ、夕の形に馴染む様に中は蠢きながら絡み付いていく。
「⋯⋯ッ、アキ、の中⋯やばぁ⋯⋯!」
その形を覚えるように中が絡みつき、震える度に夕のモノは俺の中でドクドクと震えて、更にその僅かな感覚でさえも俺の中は敏感に吸収し、快楽の一部として取り込んでいく。
腰を引いて、ググッ、と再び夕のを中に押し込んでいくと、俺の体重で深く奥底まで埋まっていく。
浅い抜き差しよりも深いとこで加えた方が心地が良い。
時々、前立腺が擦られる度に全身が痺れる様な、ビリリ、と電流にも似た強い快楽が体内を掛け巡れば、その都度俺の身体が勝手に震えてしまう。
「⋯⋯ン゛ッ、⋯!!は、⋯⋯ッ、うぜ、え⋯」
「怒ん、ないでアキ。⋯⋯気持ちいい、でしょ?」
俺を慰める様に伸ばされる夕の腕が頬に触れ、するり、と撫でる様に添えられると、その冷えた指先が今では心地よく全身に染み渡っていく。
気持ちイイ、のか。
⋯⋯そうだな
いつの間にか俺の理性はブチ切れてしまっていたのらしい。
気持ち良いものだと言われてしまえばそういうモノだと素直に身体に刻み込まれ、自らそこばかりを狙い腰を動かしてしまう。
「ッ、う、っ⋯!!此処、か⋯⋯?、は、ッ、ンンっ!」
「そお⋯⋯。偉いね、すっごいきもちいいでしょ⋯⋯?そのまま、深く、俺のを中に入れてあげて」
俺の頬を撫でる様に触れていた夕の腕がそのままゆっくりと俺の身体を添う様に這わされて、腰を撫でる様に触れている。
俺に行動を指し示す様に告げられた言葉のまま、一度引き抜いた腰を夕の言葉通りに奥深くまで呑み込むように力強くググ、っと押し付けてしまえば、その瞬間に今までとは異なる圧迫感や刺激、何かを割り裂かれる様な痛みでビクリ、と飛びかけていた意識が戻ってくる。
震える脚に力を入れて腰を緩く上げ、奥から夕のモノを引き抜いてしまえば、ズキズキと僅かに痛みの走る尻の奥に眉を顰めて。
「い、っでえ⋯⋯わ。⋯⋯何、させんのお前」
「⋯⋯何もしてないよ?⋯あと少し⋯だったのになぁ」
明らかに誤魔化す様な夕の視線と、曖昧な表情をぎっ、と睨みつけてしまえば、改めて下腹部の状況を確認する。
相変わらず反応しては居るが、このままではイける見込みの無い俺のモノと、夕のものを全て咥えこんでいる俺の下腹部。
どっちもぐちゃぐちゃだな。
⋯⋯とりあえず、まあ⋯動くなとは言ったが、俺のものを触らせる位の事はさせてやっても良いだろう。
そもそもケツだけじゃイけねえ⋯⋯し。
夕の腕を掴む様に引き寄せて俺のモノに押し付けながら触れる様に告げれば、すぐにその意図を理解し触れてくれるその動きに任せて、改めて意識を尻に集中させる。
ゆっくりと腰を動かしながら伝わる快楽に意識を向けていれば、俺の中を掻き混ぜる夕のモノから溢れ出る液体でグジュり、と行為を象徴する生々しい音が、俺が動く度に室内に響き渡っていく。
その音でさえ耳を擽り、快感の一部となり体内を駆け巡れば、前に対する刺激も相まって限度が目の前に迫っている。
腰を緩く持ち上げ、そして中にその全てを押し込める。中に押し込んだまま腰を揺すれば目の前の夕の表情がぐしゃりと快楽に溺れ、その心地良さを表現している。
この動作が気持ち良いのか。
──都合が良い。
前立腺を押し潰すように夕のモノが俺の中に触れるため、俺としても挿入を繰り返す事よりも、中に擦り付ける様に腰を動かすその方法がより早く快楽を集めやすかった。
何度も中で夕のモノを俺の奥に擦り付ける様に緩く腰を揺らしながら、時々腹部に力を入れてソレを締め付けてやれば、ぶるり、と震えた夕の身体と共に、絶頂を示す言葉が告げられる。
「あ、ッ、待っ⋯⋯!それイく、からっ⋯!!あきっ!!」
俺のものを扱いてたハズの夕の手がその途端、止まってしまう。
⋯⋯んで、だよ。⋯⋯コイツだけイくのは、許せねえけどな。
腰の動きを止めると共に、俺の下腹部に腕を伸ばして中に入っている夕の根元をギュッ、と掴んでしまう。
「ッ?!な、んで⋯?!」
「あ?ちゃんと俺のモン触ってろって言ったろ。何勝手に手止めてんの」
「⋯⋯だってぇ⋯!気持ち、良すぎて⋯」
「それで自分だけイこうってか?」
鋭くその顔を睨み付けてしまえば、ぐっ、と言葉に詰まり黙り込んでしまう。
お前がその態度なら、俺だって考えは有るけどな。
夕のものをキツく掴んだまま、再び腰をぐいっと押し付けるように動かせば、やがて苦痛な声が溢れ、思い出したかのように俺のモノが一緒に扱かれる。
「待ッ!!ちゃんと、アキのも触るっ⋯から!!」
「⋯⋯ならそのまま触って、ろッ、⋯」
やがて焦りからか、俺のを扱く夕の手が段々早くなっていく。俺にも漸く見えてきた絶頂の先。
だが、このまま手を離してしまうには何だか惜しい。
まだかと余裕の無い表情で俺の手と、俺の顔を交互に見つめる夕のその表情に取り戻したハズの俺の理性は、再び一瞬でどこかにいってしまった。
中で夕のモノを力強く締め付けると共に、先にその手の中に全てを吐き出してしまう。
「ッ、⋯⋯は、ァ⋯⋯!!」
「は゛ァ、あ゛ッ゛⋯⋯!!ひ、っ⋯⋯ふ、ぅ⋯⋯」
俺だけが達した筈、だった。
が、明らかに絶頂を迎えたかの様な、びくびくと夕の身体の震えが伝わると共に荒い呼吸が繰り返され、その表情はどことも無くただぼーっと天井だけが見つめられている。
「⋯⋯イった、のか?」
「分かんな、っ⋯⋯。でも、⋯まだイってな⋯⋯」
確かに俺の中にはまだ質量の変わらない夕のモノが存在していて、さっきよりも膨れているような、そんな感覚が伝わる。
そのままでもイけんだな。
うまく身体の力が入らないのらしく、ピクピクと震えている夕の事を静かに見下ろしていたが、やがて達した余韻を抜けてしまえば再び俺の中では支配欲なのか加虐心なのか、どっちともつかない感情がぐるぐると込み上げ、そして気付かぬ間に俺の腰は揺れていた。
「アキっ⋯!!も、ダメだ、って、ぇ⋯!!」
「まだイってねえんだろ⋯⋯?付き合って、やるからッ⋯」
ギュッと意図的に中を締め付けながら、何度も抜き差しを繰り返して刺激を与えてやる。その度にびくびくと震える夕の身体や、余裕無く歪むその表情を目の前にしてしまえば自制が効かなくなってしまう。
身体を倒して夕の唇に噛み付く様に口付けながら、その流れで首筋に顔を埋めると、ガリっ、と勢いのままに噛み跡を付けてしまう。
苦痛な声が聞こえてくると共に、口内に広がる鉄の味。その刺激にさえも、俺の中にあるソレは萎える事なく元気に主張を続けている。
「⋯⋯気持ち、いいか?俺の中は、⋯っ!」
「ん、ぁあ!っ、きもち、から!!も、イきた、っ⋯⋯!」
俺が動く度に苦しげに漏らされる夕の喘ぎ声。歪に口許を歪めながら問い掛けた言葉には、既に俺の意思なんて無かった。
やがて、ゴリッ、と前立腺が夕のもので押し潰されると共に、再び俺のものからはすっかり薄くなった精液が溢れ出し、同時に手を離してやった夕のものも、俺の中に注がれていく。
熱く、量の多い精液がドクドクと俺の中を埋め尽くし、そしてポタポタと収まりきらなかったそれが隙間から溢れ出している。
「ッ、⋯くるし、すぎ⋯⋯」
「あ゛?気持ち良かった、だろ」
「⋯⋯気持ちよかった、デス」
その表現方法に文句を垂らせば、素直に言葉が訂正される。
⋯⋯にしても、しばらくは動けねえわ。
完全に脱力しきった身体を俺の下で寝ている夕に抱きつく様に投げ出せば、それはお互い様だったのらしく、俺の下でへばっている夕にしばらく身を任せる事にする。
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