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新しい悩み事 4 終わり
「っは〜!!スッキリしたぁ〜!!」
「おい、ちゃんと髪乾かさねえとまた風邪引くからな」
「ん〜?アキがやってくれるんでしょ?それ待ちなんだけど」
「今日は無理」
ドサッ、と派手にソファーに横たわるアキを横目に、ちょっと小腹が空いた為冷蔵庫の中をガサゴソと漁ってみる。
何かと俺の世話を焼いてくれるアキのこと。
軽く頼めばやってくれるだろうと思っていたけど、今日ばかりは疲労困憊です。といった表情で気だるそうにソファーで寝転がったまま起き上がる気配も一切なく、携帯画面をじっと眺めている。
…まあ、そりゃそうか。
結局ケツでも全然気持ちイイじゃん。って事に気付いた俺がもう1回、もう1回、とアキが果てる度にせがみ、そのうち体力の限界だと動けなくなったアキのちんこを勝手に借りて何ラウンドも楽しんでいるうちに、気付いたらアキの意識は、飛んでいた。
ほんとにヒョロすぎなんだから。
アキを抱えて綺麗に身体を洗ってあげた後、自分の身体も、お尻の中も綺麗に洗い流す。そうこうしてる内に目を覚ましたアキに獣を見るような目付きで睨まれてしまったが、まあ、それはあながち間違いではないかもしれない。
マジで気持ち良すぎて腰が止まんなかったんだもん。初めての経験だったんだし、しかたないじゃん。
普段からストックしてある甘味系のおやつの中から適当にシュークリームを一つ選んで手に取れば、モグモグと食べながら簡単に髪を乾かしていく。
ん、なかなかに美味い。
普段はリビングまで移動して座って乾かしていたが、それが面倒で洗面台からドライヤーのコードを伸ばして髪の毛を乾かしていく。
暇だなあとアキの観察をしていたのだが、ふとやけに携帯画面を熱心に見つめるその姿が気になる。
アプリゲーでもしてんのかなって思ってたけど、そんな雰囲気は全然感じない。それ以外の理由で携帯に触れているアキを見る事は普段から少ないからこそ珍しいと言うか怪しいというか。
なんて言うか、俺の勝手な勘がピン!と働いた。
「⋯⋯何をそんな真剣に見てんの?えろ動画?」
「⋯、⋯は??⋯ちげえよ馬鹿」
「何その間。怪しすぎない⋯?ちょっと、俺にもそれ見せてよ」
「だから違うっ⋯、⋯おい!!」
まあだいぶ乾いたっしょ、と表面の水分が抜けた事で良しとして向かう先はソファーで寝てるアキの元まで。頭上から覗き込んでみれば明らかに俺から携帯画面を遠ざけたその一瞬の姿を、見逃す訳がないんだよね。
咄嗟にアキの手から携帯を奪い取れば慌てるアキを余所目に、なになに〜?と携帯画面を確認してみる。そこには期待してたエロ動画とかそんなんじゃなくて、誰かとやり取りをしてる画面が表示されていただけだった。
まあ、分かってはいた結果だけど、どっちかって言うとその相手だけが見逃せなかった。⋯あの、クソ陰毛野郎。
「はぁ〜?!きっっしょ!!なんでまたこいつの連絡先持ってんの?!今すぐ消してくれない??不愉快すぎる」
「⋯別に俺と吉村が何の連絡してようが、お前には関係の無い事だろ」
「関係無い???俺と??関係がある事しかないよ!!何でまた登録してんのって聞いてるの。前消したって言ってたじゃん!!」
「⋯俺がやってねえよ。アイツが勝手に入れてんの」
「それをアキは易々と許したって事??はぁ??信じらんない⋯⋯もっかい消す」
「おい、待てって。いくら何でもやり取りの途中だろうが。それが終わってからにしろ」
「ヤ、ダ」
ぜえーーったい許さない。そもそも何でアキはアイツに簡単に携帯渡してる訳??勝手にやった?は??ふざけんなし。
そもそも俺が怒るような事をコソコソバレないようにやってるアキが悪いじゃん。呆れた顔で俺を見ているアキに、ふんっとそっぽを向いて改めて携帯画面と睨めっこをする。
何を言っても無駄だと悟ったのか、大人しく今度はテレビに視線を向けるアキをじっ、と睨みつける。その態度から要するに、アキ自身もどうでも良いのだろう。
だったらなんでわざわざ⋯っはぁ、とりあえず問いただすのは後にして1秒でも早くこいつの存在をアキの携帯から抹消してしまいたい。
フレンド解除ボタンを手早く探し出しそのまま解除、⋯するつもりだったが、そもそもなんのやり取りをしていたのだろうかと内容が気になる。
一旦、解除は後回しで内容の確認からしてみる。なんか変なことをまたアキに吹き込んでたら後日殴ってやる。決めた。
「は⋯くだらな。こんな事で一々連絡すんなよ」
勝手にフレンド登録されてたのはどうやらつい最近の出来事だったらしい。新しいスタンプを買ったから見て欲しいだの、明日の授業内容の変更の確認、テストの内容範囲を忘れてしまったから教えて欲しいだの、どう見ても無理やりアキと連絡を取り合うための口実だろう。ただの文面からも下心がバレバレだ。
だがしかし、たまに一言返事が返されてるだけでその殆どがアキの既読が付けられた状態のまま、一方的に会話が終わっている。
惨めすぎるだろこいつ。
なーんだ。とこのまま安心してしまいそうになった、が、危ない。そもそもアキがこう言うやり取りが苦手人間だとして、たまにしか返事を返さないようなタイプだとしても、コイツの連絡先がそもそも要らないの。本来の目的を思い出し、改めて消去ボタンを表示させる。が、ふと、ついさっき送られてきたばっかの内容に視線が止まる。
そこには、
『これ、俺のオススメだから見てね!』
と、一言と共に怪しげなURLが添付されていた。
なんだこりゃ。だからアキはどうしようか、素直に見てもいいものなのかと珍しく悩んでたのか。
こんなもん、よくある詐欺メールでしか見た事ないだろ。
だがしかし、どうしても何かが引っ掛かるような。⋯⋯まあ、アウトだったらすぐ消しちゃえば良いし。そう自分に言い聞かせてポチリ、と好奇心のままURLを開いてみる。
途端に何処かの動画サイトへとリンク先が繋がる。
ちょっと、待ってよ⋯
生憎にもそのサイトには見覚えがあった。
これ、アダルトサイトじゃん。
以前アイツからオススメだと俺もいくつか動画のURLを送り付けられた事があったが、相当お気に入りのサイトだったのかそのどれもがこのサイトからピックアップされていた動画ばっかだった事を思い出す。
しかも、全部がマニアックなハードプレイ動画ばっかで正直興味も無ければ全く見る気すら起きず、アイツの連絡先をブロックして終わったんだった。
やけに大人しい連絡内容だと思ったら⋯コイツ、ほんとやり方がキモイよな。
またいつものくだらない動画を見せようとでもしてんだろ、とサイトを閉じようとするが間違えて再生ボタンを押してしまったのらしく、途端に動画が再生されてしまう。
うわ⋯やっべ⋯!
急いで停止ボタンを押すが、あろう事かそこにはあのアキに似たアダルトビデオの俳優が映り出されている。ストーリー仕立てなのだろうか、教室の中で一人ぽつんと佇む彼の姿に思わず、表情が固まった。
⋯⋯そうとなれば、話は変わってくる
以前吉村からの荷物に紛れてアキの部屋の中で見つけたそのアダルトビデオを実はこっそり持ち帰るつもりだったが、色々あって、吉村がまた全部持ち帰っちゃったんだよなー。ほんと役に立たないやつ
ふと、当時の事を色々思い出してみるが⋯なんともまあ、アイツのせいで気持ち悪さしか残らない記憶しか無かった。しかもアキと吉村に噛まれた傷跡、まだ微妙に残ってるし。
思い出した途端、ズキン、と痛む傷跡を指先で擦りながら、再び携帯画面と睨めっこをする。
えーっと⋯?そのエロビデオの動画を俺宛に転送して⋯んでアキにバレないように送信履歴を消去する。⋯⋯俺ってば、手の早いこと
そして、何事も無かったかのように吉村の連絡先をアキの携帯からポン、と削除してしまえばそのまま携帯を返してあげる。
「もう絶対にアイツにアキの携帯触らせないで」
「触らせないで、つったって勝手にやられてんだから仕方ねえだろ。」
「その時はまた俺に教えてくれたら良いじゃん。すぐ消してあげるから」
「⋯⋯ほんとに懲りねえよな。お前等の仲の悪さは」
「アキの事が好きなのは俺だけで十分なの。他は要らないでしょ?」
「⋯分かってるよ」
ふん、と口を尖らせて見れせばバツが悪そうに渡された携帯画面をぼんやり見つめるアキの横顔が視界に映る。
⋯って言っても、アイツはまたアキの携帯に連絡先を勝手に捩じ込んであの動画を送り付け続けるんだろうけど。
⋯⋯それはそれで⋯ん〜、まあ、しばらくは大目に見てやるか。
それにしても、大丈夫かなあ⋯俺。アイツから送られてきた動画ばっか見て俺までマニアックなプレイに目覚めたら⋯ハードなSMとか、そんなん⋯アイツの趣味が俺に合うはずが無いし、そもそも興味が無い、ハズ。そう!俺は、興味が、ないのー!!
悶々、と今後の性癖趣向について頭を抱えて悩む俺を怪訝な表情で見つめているアキの視線が、何だか痛い。⋯⋯あいつのせいで⋯変な悩み事が増えちゃったじゃん
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性欲過敏なお年頃
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