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第10話

 津島の葬儀に参列しても、もう目を開ける事のない津島の白い顔を見ても、火葬場で焼かれ小さな箱に入って戻って来た時も、俺はまだ信じられなかった。  俺があの日会った津島は幽霊というやつだったのだろうか。  最後の挨拶をしに俺の所へやって来たのか?  一方的に好きだと告白して、お前はそれで未練もなくあの世へ行けたのか?  残された俺はどうすればいい?   告白の返事も出来ずにお前の事をずっと忘れられないまま引き摺っているのに。  何度も夏が来て、津島の命日が来る度にあの日の津島の告白と、楽しく過ごした大学一年の頃が蘇る。  あれから何人かと付き合ってみたけれど長続きしないまま別れた。俺が本気で好きになれなかったから。  そのうち誰かと付き合うのは諦めてしまった。これなら一人でいた方が楽だ。  津島の母親が葬儀の後に色々と話をしてくれた事を思い出す。  津島は大学二年に上がる少し前に悪性の腫瘍が脳にある事が分かって、休学して治療をしていた。けれど、腫瘍が見つかった時には既に手術では取れない所にまで腫瘍が大きくなっていて、体の彼方此方に転移もあった。

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