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dear10

 認めたくなかった。  さっきのフェラよりも気持ちいいなんて。  飛び散った白濁から眼をそむける。  それから亜廉の首を抱いて引き寄せる。 「龍?」 「……、く」 「聞こえないよ」  俺はうつむきながら言った。 「早く……先輩も気持ちよくなってください」  消えたくなるような恥ずかしさが後から襲ってくる。  でも、耐えられなかった。  俺ばっかり。  こんな考えも正気じゃないけど。 「可愛すぎ」  亜廉が低い声で囁くと、中に入ってきた。 「んんッッ」 「はい、だめ。口塞がないの」  押さえていた手を剥ぎ取られる。  睨もうとしても、腰がぶつかる度に顔が蕩ける。 「もっと聞かせて。龍の可愛い声」 「はッッあぁああ、あッッぅあ」  息が、首筋に当たる。  余裕のない、荒い息が。  ベッドの軋む音よりも。  自分の喘ぐ声よりも。  先輩の息遣いが鼓膜を犯してる。 「はあッッ……あ」 「ふ、本当に可愛い……龍」  俺の前髪を掻き上げ、額にキスを落とす。  そのまま胸元に縋り付いた。  ぎゅっと抱かれる。 「なに? 甘えてる?」 「はッッ……ば、か」  水と汗に濡れた髪から酔うような香り。  そのままぐいっと持ち上げられ、腰に座る形になる。 「あッッぅうあッ」 「あっ。こっちの方が好きそうだね」  下からガンガンと衝撃が脳まで貫く。  もっと、て。  自分の腰が動く。  熱い。 「ねえ……龍」  意識を手放しそうな快感の中、声がする。 「今なら嘘でもいいから言って。ボクのこと好き?」  目を見開く。 「ちょ……締めすぎ」 「いま、なんて」  はあはあと呼吸が響く。 「聞こえなかったの? もう一回いってあげる。ボクのこと好きって言ってくれない?」  見たことないくらい惹きつけられる笑顔で。  やばい。  凄いドキドキする。  ていうか、声も色っぽいし。  どうしよう。 「龍……」 「う……あ、えっと」  きょろきょろとしてしまう。

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