10 / 13
※第10話
スエットを脱がされ脚を開かされて、迷うように肛門付近を撫でる指先の動きに、俺は唾を飲み込んで、
「な、なあ、ホントに入れるつもりか」
頭は熱でやられているが、いきなり突っ込まれるのはマズイ気がして問いかける。
矢倉は軽く頷いてバックの中からハンドクリームを取り出す。傷にも効く優れものヤツだなとかどうでもいいことを思いだす。
「これが、最後になるかもだし。せっかく来たチャンスは逃さないよ」
せっかくの据え膳は食うとばかりに俺に伸し掛る。
最後に、か。
俺がダメだっていったら、本当に引くのかよ。
「な、こええよ」
指先にクリームをなすり付ける矢倉の首に腕を回して、軽く首を横に振る。
「どうしても、ダメか」
真剣な眼差しで、俺のサインを求める時のように見つめられると、動けなくなる。
ゆっくりとクリームを入口だか出口だかに、塗りはじめて俺の目ん玉の中を覗きこむ。
軽く手を目の前に差し出し、人差し指だけを伸ばして俺はストレートのサインを矢倉に出した。
くるなら直球だけ、受け止めてやる。そのまま背中にぐいとしがみつき目を固くつぶる。
クリームまみれの指先がぬくぬくと胎内へ押し込まれるのがわかり、背中をぞわりと震わせる。
内部をいじられる恐怖に目を開くと、矢倉がひどく優しい目をして、ゆっくりと抜きさししているのがわかる。太股に堅い肉があたり、矢倉がかなり我慢をしているのは同じ男として分かった。
くちゃくちゃとありえない音が響き恥ずかしさを増すが、堅い胸元に頭を擦り付けると気が紛れた。
「ッ、く、.....っ、朔、矢」
「痛くはないか、リツ。指を増やしても大丈夫か」
耳元で優しい声で囁かれ、俺はこくりと頷く。行為の全てが激しくはなく、俺が馴染むまで待ってくれている。
まるでリードされているようで、なんとなく腹が立って、矢倉の腰を引き寄せた。
「.....おま、えのも、触らせろよ」
ともだちにシェアしよう!