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第7話 クーデター
パァンッ
何かの弾ける音を皮切りに、目の前が白に染まった。
目が開けられない。眩しい。
ブオンウォンウォン
押し寄せる風が夜をかき分ける。
頭上から強風が吹き下ろした。
プロペラ音が空を裂く。
月光はもう見えない。
「なんのマネだ!」
何十機ものヘリコプターが夜空に乱舞する。
「軍部は掌握しました。あなたが後任に選んだバナードも、私の息の掛かった人間です」
「そんな事を聞いてるんじゃないッ」
そんなんじゃ。
「これは……」
これでは、まるで…………
空高く舞い上がるヘリコプター。
一瞬だけ、プロペラの音がやんだ。
「クーデターじゃないか……」
言いたくなかった。
認めたくなかった。裏切りの言葉。
「そうとって頂いて構いません」
軍部だけではない。
この男は、この国を掌握する。
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