23 / 56
第23話
天井が見える。
その間にランハートが見える。
体がランハートの重みを感じている。
二人分の体重で、ベッドが沈んでいる。
「我が后、あなたに私の子を生んで頂きたい」
トクンッ
心臓が跳ねた。
俺、どんな顔をしているのだろう。
「逃げないで下さい」
身をよじろうとした体は、彼に拘束される。指と指を絡め取られて、手を繋がれた。
「あなたの愛らしいお顔を見たいのです。どうか、隠さないで下さい」
俺は……
「ランハート、お前が思うような……」
「愛していますよ、勇者様。一千年前からずっと……この世界に再び、生まれ変わりになられるのをお待ち致しておりました」
アイル様……
「生まれ変わられたのが、あなたで良かった。あなたに巡り会えた事を、幸福に思います」
チュっ
おでこに唇が落ちた。
「あなたを私だけのものにしたい。あなたを誰にも渡したくない。あなたを私のものにできるのならば、あなたの大切なものを人質にとって、どんな卑怯な手でも使いましょう」
「そんなのランハートらしくない!」
「これが私ですよ。だって、私は魔王なのですから」
フフっと軽やかに笑った。
「私のものになって下さると、お約束頂けるのでしたら、世界全てをあなたに差し上げます」
「そんなのいらないよ」
「慎み深いお方ですね。では、世界の半分を差し上げましょう」
「そんなのいらない!」
そんなのなくたって……
「俺は……」
魔王ランハート
「お前のものだ」
ともだちにシェアしよう!