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第23話

 天井が見える。  その間にランハートが見える。  体がランハートの重みを感じている。  二人分の体重で、ベッドが沈んでいる。 「我が后、あなたに私の子を生んで頂きたい」  トクンッ  心臓が跳ねた。  俺、どんな顔をしているのだろう。 「逃げないで下さい」  身をよじろうとした体は、彼に拘束される。指と指を絡め取られて、手を繋がれた。 「あなたの愛らしいお顔を見たいのです。どうか、隠さないで下さい」  俺は…… 「ランハート、お前が思うような……」 「愛していますよ、勇者様。一千年前からずっと……この世界に再び、生まれ変わりになられるのをお待ち致しておりました」  アイル様…… 「生まれ変わられたのが、あなたで良かった。あなたに巡り会えた事を、幸福に思います」  チュっ  おでこに唇が落ちた。 「あなたを私だけのものにしたい。あなたを誰にも渡したくない。あなたを私のものにできるのならば、あなたの大切なものを人質にとって、どんな卑怯な手でも使いましょう」 「そんなのランハートらしくない!」 「これが私ですよ。だって、私は魔王なのですから」  フフっと軽やかに笑った。 「私のものになって下さると、お約束頂けるのでしたら、世界全てをあなたに差し上げます」 「そんなのいらないよ」 「慎み深いお方ですね。では、世界の半分を差し上げましょう」 「そんなのいらない!」  そんなのなくたって…… 「俺は……」  魔王ランハート 「お前のものだ」

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