31 / 56

第31話

「……アイル様?」 「うぅん、何でもない」  俺の思いはまだ秘密。  孤独が消えた時、打ち明けようかな。そう言えば、あの時……って。 「お作法にのっとって進めて構いませんか」 「あぁ、そうしてくれ」 「では、求愛ダンスを踊って頂けませんでしょうか」 「………」 「………」 「………」 「………」 「きゅーあい?」 「求愛ダンスです」  求愛と言われても〜 「難しく考えずに。Ωの本能で踊って頂ければ大丈夫ですよ」 「う〜ん」  王族の嗜みとして、社交ダンスは踊れるけれど。 「おや、困ったお顔をなされておいでですね」 「ひゃっ」 「今度はお顔が赤くなった……フフ」 「わわっ」  体がふわっと宙に浮いた。 (そうじゃない!)  俺の体、抱きかかえられている。  これって、もしかして……もしかしなくても。 (お姫様抱っこだァァー!!)

ともだちにシェアしよう!