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夢見る俺たちの春休み (7)

「やだっ……やだよっ……先輩……ッ」 「やだ? もっと、でしょ?」 「違っ……やだっ……怖いっ」 「怖い? どうして?」 「すんごい奥までっ……入ってるっ……ぅ」 「うん。なにが?」 「佐藤先輩のっ……ちっ、あ、あぁん!」  いや、違う。  違うんだ!  これは、佐藤くんの〝プレイ〟に乗っかってるわけじゃないんだ。  決して!  断じて!  ただ、佐藤くんがーー 「先輩って呼んだら、やめるって言っただろぉ……!」 「そうだっけ?」 「あっ、ちょ、やっ、やだやだ! イく……!」  今夜の佐藤くんは、優しいのか、意地悪なのか、よくわからない。  乱暴にベッドに押し倒されて、引き千切られそうな勢いでスーツを剥ぎ取られて、そのまま喰われるって思ったらびっくりするくらい優しいキスされて、いらない嫌だやめて絶対やだ!って言ったのに後ろの準備まで手伝ってきて、宝物を扱うみたいに身体中を大事に大事に愛撫されて、じっくりゆっくり解されて、淡い熱に浮かされてぽやーっとしてたところに、いきなりブスッと突っ込んできた。  それからは、性欲しか頭にない高校生みたいにガンガン攻めてきたと思ったら、急に冷静になって、俺のいいトコロに狙いを定めてきたり。  意地悪と優しいに交互に翻弄されて、俺はただ、情けなく喘ぐことしかできていない。 「またイッたね。3回目?」 「う、るさい……ッ」 「うわ、生意気。そんな態度でいいの?」 「あっ、やめっ……も、やだぁ……!」  俺のお腹は、もうベッタベタのグッチョグチョだ。  それに、喉が渇いて痛いし、声も掠れてきた。  なのに、佐藤くんは、まだ一度も達してない。 「俺ばっかりなのっ……やだ……っ」 「なんで?」 「俺ばっかり、気持ちいい……っ」 「理人が気持ちいいと、俺も嬉しいよ?」 「俺は嬉しくない……!」  こんなの、俺がほしかったえっちじゃない。  俺ばっかりが先輩を感じているだけなんて、いやだ。  先輩にも、俺を感じて欲しい。  だって、 「一緒じゃなきゃやだ……!」  先輩のことが、大好きだから。 「理人……」    先輩の顔が、ゆっくりと近づいてくる。 「んっ……」  唇の先と先が、そっと触れ合った。  舌を伸ばすと、すぐに絡みとられ、口づけが深くなる。  口内をうごめく舌先を必死に追いかけていると、下腹部に違和感が走った。  なかいっぱい埋もれていた先輩の熱が、ズルズルと出ていく感覚がする。  思わずお腹に力を込めると、くっついたままの先輩の吐息が笑った。 「理人……」 「んっ……」 「好きだよ」 「あ、あぁ……!」  視界に、たくさんの火花が散った。  穿たれた先輩のそれはあっという間に最奥に辿り着き、俺の呼吸を奪う。  空気を求めて喘いでも、すぐに口を塞がれてしまう。  激しい抜き差しのせいでベッドが軋み、世界がガクガク揺れる。  先輩が呼吸するたびに、俺の体内からどんどん酸素がなくなっていく。  苦しい。  怖い。  でも、  最高に気持ちいい……! 「んっ……んんぅ……ッ」  一度は引いたはずの快感の波がまたせり上がって来て、膝が勝手に痙攣する。  強張ったふくらはぎを先輩の腰に巻きつけると、ようやく唇が離れた。 「あっ、あっ、せんぱいっ……さとうせんぱい……!」  自由になった唇で、愛しい人の名前を呼ぶ。  先輩は今にも爆発しそうな熱のこもった瞳で俺を見下ろしながら、俺の両膝を裏から抱え上げた。  腰を押し付けられると、さらに繋がりが深くなり、逃げようとしても逃げられない。 「かわいいよ」 「あっあっ……」 「ほんと、かわいい……っ」 「ああッ……!」  先輩の吐息が途切れ、激しいピストンが始まる。  汗ばんだ身体が滑って、でも少しでも離れたくなくて、俺は必死に先輩にしがみついた。  すると、守るように抱きすくめられ、胸がいっぱいになる。 「せんぱい……っ」 「……」 「先輩、俺、もうっ……!」 「うん、一緒にイこう」 「あーー…ッ」

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