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第3話

 ピピピピッ、ピピピピ……  自分のスマホからいつものアラーム音が聞こえて、俺は手を頭の上へ持っていきゴソゴソとベッドをまさぐる。  指先にあたった無機質な感触に、それを掴むと薄っすらと目を開けて画面を確認してからアラームを消し、体の位置を横に変えてシパシパと瞬きをすれば、見慣れない顔が近くにあり息を呑む。  「……ッ!」  その瞬間に昨日の出来事が走馬灯のように蘇り、俺はベッドから上半身を起こすと隣でスゥスゥと寝息をかいている顔をジッと見詰める。  ……………、マジで男なんだが……。  俺の知らない間に化粧も落としたのか、完全な男の姿で昨日俺を抱いた奴が隣で寝ていて……。  「……………、マジかよ……」  ボソッと呟いて俺は小さく溜め息を吐き出すと、寝ている奴を起こさないようにベッドから抜け出し、自分の服は?とキョロと部屋の中を見渡す。  視線の端にソファーに置かれた服を見付けて着ると、その傍らに置いてあったバッグを手に持ち俺は静かに部屋を出た。  ラブホから出ると電車に乗って帰る気にもなれず、道端に停まっているタクシーに乗り込み自宅の住所を告げるとタクシーは走り出した。  タクシーが走り出して窓から外の景色を流れ見ていると、突然本当に何の前触れもなく先程俺の隣で寝ていた奴とセックスをしたんだと実感してしまい、俺は口元に手をあてる。  女装していた綺麗な男。  俺に薬を盛って、俺の体を好きに抱いた。  もっと乱暴に抱かれるのかと思いきや、終始俺に触れる指先は優しくて……。  「……ッ」  あの後もワケが解らなくなるまで抱かれて、気付いた時には朝になっていた。  自分の服を着る時に体は綺麗になっていたので、きっと俺が寝落ちてしまった間にアイツが綺麗にしてくれたのだろう。  「ハァ……」  俺は溜め息を吐き出しながら、男の顔を今一度思い浮かべる。俺の知り合いの顔を順に思い出しながら、その中にさっき見た寝顔を当て嵌めていくが一向にピッタリと一致する人物が浮かぶ事は無かった。  ……………、本当に知り合いじゃ無いって事か……?だとすれば質の悪い奴に捕まってしまったとそう思っていいのか……?犬に噛まれたと思って………?  何度目かの溜め息を漏らしているうちに、タクシーは自宅の前に到着した。

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