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第4話
「え?……、また~……?」
「……………、悪い……」
バサリッと背中を覆っている掛け布団を剥いで俺はベッドの端に座ると、セフレの彼女もベッドから起き上がり
「シャワーしてくるね~」
少し冷めた感じで言われ「おぉ……」としか返せない俺は、ベッド横にあるチェストに置いていたアイコスを手に取り、吸い始める。
あの日から……、女装した奴と寝てから、俺はすこぶる体調が悪い。
まぁ……悪いと言っても体は何ともないのだが、下半身だけが俺のいう事を聞いてくれなくなった。
……………早い話、勃たなくなったのだ。
あの時の事を早く忘れたかった俺は、上書きだと称して手当り次第セフレに連絡を取って事に及んでいるのだが、俺の下半身はうんともすんとも言わなくなった。
じゃぁ一人でしてみるかと試してみたが、擦っても扱いても萎えて勃起をしない為、射精する事が出来ない。
ならばお気に入りのAVで抜こうとパソコン画面とにらめっこしたが、結局は組み敷かれている女優が自分と重なり、開いてはいけない感情にそのまま画面を消してしまったのだ。
……………、夢精はしたけど……。
最近は段々とセフレ達が俺が勃たない事をコソコソと噂し始めたから何とかしたいのだが……。
俺も俺で勃起しないからセックスができずに、イライラする事が増えている。
「はぁ~……」
俺はベッドの下に放ってあったバッグの中から財布を取り出し、ホテル代をチェストに置くと服を着込んでシャワーを浴びているセフレのところまで歩いて行き
「俺、帰るから」
「え?なんで~?」
「金、置いてるから泊まるならそうしろ」
「は?ちょっと、清文~?」
背中にセフレの声を聞きながら俺は部屋を後にする。
今日はもう酒でも飲んで寝るしかないなと考えながら帰路に着く。
自宅に着いてリビングのソファーにドカリと座ると、あ~……。と呟きながら背もたれに頭を乗せ上を向くと、落ち着く前に冷蔵庫から持ってきたビールの缶を手に持ちプルを開ける。
頭を上げてビールを喉に流し込みテーブルに置くと、フゥと吐息を漏らす。
こんな事、誰が想像できたよ?たかだか女装した奴に尻を掘られた位で勃たなくなるとかあり得るのか?
やっと苦労して手に入れた大学生活なのに、たった何時間かの初体験でこうもあっさりとそれらを無くしてしまうとは……。
苛つきとムカつく感情が入り混じりテーブルの上の缶を手にとってグビグビとビールを飲み干す。
……………、かくなる上は、一番したくなかった方法だが……背に腹は代えられないよな?と自分を納得させて俺は早々に寝てしまおうと決意を胸にソファーから立ち上がり寝室の扉を開けた。
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