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第3話
手を絡ませながらも床に押し付ける。
少しも離したくない。
「ん…っ、」
そして、また貪るようにキスをする。
何年待ったと思っている。
待ては長ければ長い方が美味い。
確かにそうかもしれない。
止まれない。
少しも離れたくない。
こんなにも独占欲を押し付けるほどだ。
「ま、…さ……」
目を開ければ睫毛がぶつかりそうな距離に遥登がいる。
それがどれだけ嬉しいか。
しあわせか。
唇を開かせ、また舌を舐める。
ぬるぬるしていて、あつくて。
軽く食むと三条の手がビクッと震える。
更に上顎をべろっと舐め上げた。
「……っ!」
「敏感になってねぇか」
「…何年、刺激されてないと…思ってるんですか…」
「悪い。
我慢させたよな」
三条は真っ直ぐ此方を見ながら首を横に降って否定した。
我慢をしなかったなんてことはない。
溜め込みすぎて泣いたことも、それが身体に表れたことも、ハッキリと覚えている。
忘れることなんて出来やしない。
自分が不幸にした、と自覚があるからだ。
教師を優先してしまった。
遥登ではなく、兄としての息子としての遥登を優先してしまった。
結果として最悪のことは起きなかったし、その我慢自体に意味がなかったとは思わない。
それでも、泣かせてしまったのは事実だ。
笑った顔がなによりも好きなのに。
「はる」
「はい…?」
ちゅっ、と触れるだけのキスをすると、三条ははにかんだ。
その顔は世界で1番しあわせそそのもの。
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