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第7話

「わざとに決まってんだろ。 やっと触れるんだぞ。 揉んどかねぇと」 「俺のケツを揉んでなにが楽しいんですか…」 「すっげぇ楽しい。 この肉付きの悪さが遥登のケツ揉んでんなぁって思うんだよ」 まぁ、分からなくもない。 綾登のおしりを触るのはやわらかくて楽しい。 自分のは肉付きが悪くて楽しいとは言い難い気もするが。 されるがまま、もう一度胸に顔を埋める。 本当にしあわせだ。 触れられるからしあわせ、なんてことはないと思う。 現に、小指を繋いでデートだって沢山した。 後部座席で昼寝─深夜だったけど─をしたり、それまでと似たような時間を過ごさせてもらった。 それだって、すごく愛されていると分かるしあわせなことだ。 なのに、こうして長岡の部屋で長岡の体温と心音を感じていると、楽に息が出来ると思う。 生きていると強く感じる。 現金だ。 すごく。 だけど、この気持ちも本物だ。 ケツを揉んでいた手は、腰へと上がり、ゆっくりとそこを擦りだした。 「寝ても良いぞ。 頃合いみて起こす」 「なら、正宗さんも」 「ん。 アラームセットすっか」 甘やかすように頭を撫でられ、頬が緩む。 心の底から長岡が好きだと思う。 ただ、その気持ちに浸る。 アラームを設定し、ソファに置かれたブランケットをかけられ昼寝をする。

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