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第10話
「送る」
大きくなった頭をわしゃわしゃと掻き乱し、名残惜しさを隠す。
明後日からは職場でも会える。
一人占めさせてもらうのだから、せめて格好くらいつけたい。
「ありがとうございます」
随分素直な返答だ。
それもその筈。
キスが出来たことが三条の中で大きいのだろう。
今日はやけに無防備だ。
それに、いつもに増してふにゃふにゃしている。
「その前に、もっかい」
ちゅっと額にキスをする。
すると、三条がそっと頬に触れた。
「俺も…」
頬に触れそうな唇。
それを、顔の位置をわざとずらし唇で受ける。
「っ!」
「やっぱり、口だろ」
「正宗さんが先におでこにしたのに…」
「じゃあ、ほら」
唇をくっ付けるだけの、だけどとても嬉しいキスをする。
「今日は、沢山しますね…」
「出来なかった分だけしとかねぇと」
顎に触れ、またちゅっと唇のやわらかさを感じる。
「そうだ。
キスマークつけても良いか?」
「え、…はい」
手首にキスをしつつ、服を捲り上げ、胸─心臓の上─に吸い付いた。
「これくらいならすぐに消えるだろ」
「すぐに…消えても良いんですか…?」
「返したくなくなること言うなよ。
消える前に、また付けてやる」
どうせ月曜日にはつけるだろう。
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