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第18話

「印刷室行きますけど、なにかありますか?」 「大丈夫です」 「三条先生」 旋毛に声がかかった。 見上げる先には綺麗な顔。 「印刷室の使い方と良ければ校内少し案内しますよ」 「良いんですか…?」 「えぇ、勿論です。 印刷室と事務室、あと休憩室も教えますよ」 「ありがとうございます」 フランクに手を振って見送ってくれる先輩たちに頭を下げる三条と共に階下を目指す。 一緒に校舎を歩くなんていつぶりだろうか。 あんなに毎日そうしていたのは、4年前。 4年も前のことだ。 知らない校舎のにおいに、いつものにおいが混じる隣を歩く。 知らないと言っても、大まかなつくりは似たか寄ったり。 特別教室の場所や準備室の場所を覚えてしまえばある程度の場所は感覚で行けるだろう。 「ここが会議室で、奥が空きスペース。 職員会議はこの会議室が多いです。 で、こっちが印刷室です」 ドアを開けるとコピー機が並んでいる。 それからシュレッダーも。 紙とインクの独特のにおいがする。 学校にしては小さな空間だが、 「コピー機の説明いきますよ。 基本的に、こっちがB5、こっちがB4の印刷機です。 印刷機っていうか普通のコピー機ですけど 使いたい方が空いてなかったら、臨機応変に空いてる方の機械を合わせて使ってください。 ここをこうして、サイズをかえられます。 吐き出し口のサイズもかえてください。 印刷物がグシャグシャになりますから」 「はい」 小さなこともメモしながら長岡の後ろを着いて歩く。 その度にふわふわた華やかな柔軟剤のにおいがする。 「印刷しますね。 あ、使い方知ってますか?」 「はい。 何度か大学でも使いました。 コンビニでも使ったことあります。 けど、見ても良いです…?」 「勿論です」 教師の顔をした長岡は、さっと機械を操作するとコピー機が動き出した。 ペーッと1枚吐き出されると、次は淡々と出てくる。 血管の浮いた男らしい手。 すらりと細いが節だった指。 なぜか、それから目が離せない 『きもち?』 『んん……っ、……あっ、…』 『だよな。 ちんこガチガチだもんなぁ』 その手に何度もいじめられた。 一昨日は、素肌に触れられまさぐられて… アナルがキュッと反応した。 悟られないようにペンを握り直したつもりだったのだが、 「この前の思い出した?」 「…っ!!」 「きもちかったな」 顔を真っ赤にした三条は口をキュッと結んだまま、恨めしそうに先輩を見上げた。

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