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第20話
事務室では、お知らせを生徒同様に紙媒体で配布される際に使う各自の書類ケースを教えてもらった。
ここにプリント入れておけばみんなが各自のタイミングで確認するらしい。
思い出した時に確認する、とメモをとるが、長岡が受け取ったかを確認してくれそうだ。
甘えすぎないように気を付けなければ。
負担にだけはなりたくない。
事務室から出た所で、部活終わりなのか大きなリュックを抱えた学生がチラホラと校舎に姿を表しだしたことに気が付いた。
その中の1人がスーツに気が付く。
「あ、ちわーす!」
「こんにちは」
「こんにちは」
「新しい先生すか?
長岡といるってことは国語?」
「はい。
三条と言います。
よろしくお願いします」
先ほどと同じ様に自己紹介をすると、生徒はニカッと笑った。
「じゃあ、これあげる」
「え?」
手出して言われ、更にぐいっと手を差し出された。
「春休み明けのテスト簡単にしてね」
ポイッと手のひらに落とされたのは個包装のチューイングガム。
長岡も、と隣にも差し出した。
そして、すぐに「じゃ!」と玄関へと向かう。
「ありがとうございます」
「気を付けてかえってください」
気さくな生徒にほんの少しだけ安心した。
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