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第22話
お弁当を取り出すと早速使い捨てのパックを開ける。
からあげにたまご焼き、アスパラベーコンやポテトサラダ。
ひじきの煮物にきんぴらごぼう、ブロッコリーの胡麻和え。
中身は自分の好きなものばかりがぎっしりと詰まっていた。
更には優登の作ったお菓子まで入っている。
パチッて手を合わせると、隣からも「いただきます」と聞こえてきた。
「いただきます」
まずは、からあげ。
冷めていても美味しい。
じゅわっと口に広がる醤油と生姜の風味がたまらない。
次にたまご焼き。
甘くて、優しい味がする。
母の作ってくれる、いつものたまご焼きの味。
もぐもぐと頬袋を動かしながらおにぎりを見詰める。
中身が分かるようにシールが貼られている。
こういう小さなことをしてくれる母の優しさが嬉しい。
「高校の時とかわらず美味しそうですね」
隣からの声に口元を隠しながら頷く。
「はい。
美味しいです。
お1ついかが…って訳にもいかないんですよね…」
大分生活は元に戻ってきても、まだ制限はある。
つい癖で言ってしまうそれに眉を下げた。
「今度のタイミングで貰いますね」
“今度”。
それが退勤後のことを言っているのか、本当に今度のタイミングを言っているかは分からないが1つ頷き約束をする。
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