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第25話
買い物を済ませ帰ってくるとまっすぐ冷蔵庫へと向かう。
粗方の物は昨日買っておいたが、今日という日は1日しかない。
甘やかすならと帰宅前にスーパーに寄り買い物を終らせ、スーツを脱ぐこともせずそれらを冷蔵庫へと片付けていく。
春先になっても冷えるのでジャケットを脱ぐこともしていない。
体温の馴染んだ服はあたたかいからだ。
片付け終わり手洗いをしていると、玄関から音がする。
「お邪魔します。
着替えてきたので遅くなってしまいました」
「お、来たな」
チャイムを押すのはかわらずだ。
ふにゃっと笑うのも。
かわったのは大学生から同僚になったこと。
たったそれだけの、大きな変化。
「俺も今帰ってきたところだ。
お湯も沸かしてねぇ」
「すみません。
早すぎましたか?」
「んなことある訳ねぇだろ」
三条の腕を掴み近寄らせると、細い身体を抱き締める。
細くてやわらかさは少ないが愛おしい。
「おかえり」
「ただいまかえりました」
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