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第40話
「遥登、朝飯食うか?」
「どうしましょう…」
長岡はいつもより早く起きると、朝飯はどうする?と聞いてくる。
朝ご飯を食べ、着替えに部屋へと戻り、そのまま出勤すれば長岡より早く学校に行けるだろうか。
今日こそはと意気込んでみるが、長岡ならその間に出勤し暖房を点けていそうだ。
裸足のままペタペタと冷たい床を歩き、長岡の傍に寄る。
まだオフの顔だ。
やわらかくて、格好良くて。
髪の毛も無造作なまま。
それがとても恋人らしい。
「ピザトーストな。
食えるなら食ってけ。
スーツの着替えも置いておけ。
食ってから着替えるなら一旦部屋に戻れば良いとか考えてんだろ。
楽出来るなら楽しとけ」
考えていることすべてお見通しなのか。
「ありがとうございます」
いつもより早く起きたのは朝ご飯を用意してくれる為だ。
食パンにケチャップを塗る後ろ姿にくっ付いた。
「どうした。
待ちきれねぇか」
「はい」
「ははっ。
なら、早く食わせてやらねぇとな」
知っていても口に出さない優しい人に甘えながら朝の短い時間を堪能する。
「玉ねぎとハムしかねぇけど、チーズは沢山のってるからな」
「嬉しいです」
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