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第44話
三条は見送りに深々と頭を下げた。
「お疲れ様でした」
「あの、なにか不手際はありませんでしたか…」
「満点ですよ。
教えた通り出来ていましたし、言葉遣いも丁寧でした」
ほ…っとした顔を次の瞬間にはキュッと引き締める。
これだから夜に緊張がほどけて早寝するんだ。
疲れるだろう。
今日は簡単に食えて栄養があるものを食わせてやりたい。
丼物か…カレーか?
多めにカレー作って、明日はカレーうどんも良いな
野菜も食わせてぇけど、体力賄うには肉だな
ひんやりとする空気に準備室へと帰ると、あたたかく心地が良い。
来客用のカップを片付けようとするのを遮られ、三条は自分が洗うと言う。
それなら、あたたかいコーヒーを淹れなおすか。
そろそろ五十嵐と古津も準備室に戻ってくる頃だろう。
「あ、三条先生お疲れ様です。
長岡先生、コピーとこれは目を通しておいてくださいって預かりました」
「ありがとうございます。
今、お湯沸かしてますから先生の分もコーヒー用意しますね」
「有難いです」
朝からバタバタしていた古津は漸く終わったとばかりの顔で準備室へと帰ってきた。
これだから担任を持つのはアレなんだ。
良い経験ではあるが。
カップを洗う形の良い頭を見ると、それを沁々と噛み締める。
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