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第50話

翌日、昼になると準備室の4人で移動し、古津おすすめのラーメン屋へとやって来た。 学校からそう離れておらず、だけど住宅街にあるので訪れたことのない店。 「ここ、美味いんですよ。 あ、食券じゃなくて中で頼むタイプです」 「三条先生はガッツリいきますか?」 「はい。 お腹空いてます…」 「若くて羨ましいですね。 もう俺の歳になるとガッツリいっちゃうと後からキて。 それに食べたら食べた分だけ腹周りについちゃって」 「そんな風には見えません。 とっても素敵です」 久し振りの外食ということで、三条は少しだけ視線を動かしている。 試験に向けて体調不良なんて許すこともなく、ご時世的に卒業旅行もしていない。 年単位でしていなかった久々の外での食事を職場の先輩たちと、となれば緊張もするだろう。 上手く隠しているが、長い付き合いの長岡には見抜くことが出来る。 「それを言うなら、長岡先生ですよ。 このスタイル。 羨ましい」 「長岡先生は背も高くて良いですよね。 三条先生も大きくて、若い子って遺伝どうなってるんですか」 「古津先生、僕とそんなに歳離れてないじゃないですか」 昼時とあって店内は混んでいるが、座敷席が空いているということでテーブル席になった。 すると、三条がスッと隣へとやって来た。 「俺は食べるの決めてるのでメニューどうぞ」 「ありがとうございます」 「ありがとうございます。 わ、美味しそう」 緊張してても三条はしっかりと食えそうだ。

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