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第54話
長岡の車に乗り込み、学校まで戻る。
五十嵐は古津と同じ車だ。
リスク分散の為に、だけど昼時の駐車場事情を考え2台に分かれたのだが、まさか長岡と同乗だとは思わなかった。
緊張するなら長岡と一緒の方が、という気遣いらしい。
本当に有難い。
お陰で緊張はほどける。
「美味しかったですね」
「はい。
すごく美味しかったです。
重ねてになりますが、ご馳走様でした」
「うん。
どういたしまして」
長岡先生の顔をした恋人…なのか。
横顔を眺めつつ、ふと考えた。
「こんな時にあれなのですが、晩ご飯はなにが良いでしょうか」
「晩飯って…。
そうだな。
今日は俺が作るから気にしなくて良い」
「でも…」
「出来る方が出来ることをしたら良いんだって。
セックスだって、遥登が入れる方するか?
俺に前戯したりして。
出来る方が出来ることをした方が良いだろ」
「飯の後に…」
「俺が忙しい時は遥登に甘えるから」
なら、良いのか…?
「絶対ですよ」
「甘えるよ。
つか、甘えてんだろ」
「甘えて…ますか?」
構われている自覚はあるが、それが長岡の甘えなのだろうか。
歳の離れた弟のいる長男だからか甘えられると嬉しいと思うが、長岡は基本的には対等でいてくれるから分かりにくい。
「約束ですよ」
「約束な」
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