58 / 59
第58話
軽かったキスは、唇を食むような物へとかわっていく。
流石にここで盛ったりはしないが、キスをしても良いと決めてからは加減が効かない。
今までがガッチガチにブレーキを効かせ過ぎていたと言えばそうだが。
だが、健康で何事もなく三条と今日を迎えられているだけで、嬉しいのも本当だ。
守れて良かった。
その気持ちがつい愛情表現としてキスになってしまうだけ。
「ま…っ、て…ください」
「んー?」
「ラーメン、食べたから…」
「あぁ、食ったな。
美味かったな」
「はい。
美味しかったです」
大方においを気にしているのだろうが、同じものを食べたのだから気が付けない。
こんなことも気になる初なところも可愛いが。
頬へと手を滑らせ、また顔を近付ける。
抵抗と呼ぶにはあまりに可愛らしく、腕に触れられた。
「嫌か?」
「嫌とかではなくて…」
「俺、くさいか?」
「特に…。
正宗さんのにおいしかしません」
「なら大丈夫だろ。
遥登も同じだよ」
う゛ーん…と渋い顔をしてはいるが、離れたくないとばかりに腕に触れた手はそのまま。
意識しない、こういうところに本音が隠されるから人間は面白い。
「じゃ、頬とか良いか?」
「そう、ですね」
それなら、まずは額。
瞼。
頬。
耳。
少しずつ顔の位置を下げていく。
次は首。
キスと共に舌を這わせるとビクッと肩が跳ねた。
「キ、…キスだけじゃ…」
「そんなこと言ったか?」
「でも…、痕だけは…」
「分かってる。
そんな良いもん俺だけが見てりゃ良いんだからな。
あとでえっろいトコロにつけような」
ともだちにシェアしよう!

