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第58話

軽かったキスは、唇を食むような物へとかわっていく。 流石にここで盛ったりはしないが、キスをしても良いと決めてからは加減が効かない。 今までがガッチガチにブレーキを効かせ過ぎていたと言えばそうだが。 だが、健康で何事もなく三条と今日を迎えられているだけで、嬉しいのも本当だ。 守れて良かった。 その気持ちがつい愛情表現としてキスになってしまうだけ。 「ま…っ、て…ください」 「んー?」 「ラーメン、食べたから…」 「あぁ、食ったな。 美味かったな」 「はい。 美味しかったです」 大方においを気にしているのだろうが、同じものを食べたのだから気が付けない。 こんなことも気になる初なところも可愛いが。 頬へと手を滑らせ、また顔を近付ける。 抵抗と呼ぶにはあまりに可愛らしく、腕に触れられた。 「嫌か?」 「嫌とかではなくて…」 「俺、くさいか?」 「特に…。 正宗さんのにおいしかしません」 「なら大丈夫だろ。 遥登も同じだよ」 う゛ーん…と渋い顔をしてはいるが、離れたくないとばかりに腕に触れた手はそのまま。 意識しない、こういうところに本音が隠されるから人間は面白い。 「じゃ、頬とか良いか?」 「そう、ですね」 それなら、まずは額。 瞼。 頬。 耳。 少しずつ顔の位置を下げていく。 次は首。 キスと共に舌を這わせるとビクッと肩が跳ねた。 「キ、…キスだけじゃ…」 「そんなこと言ったか?」 「でも…、痕だけは…」 「分かってる。 そんな良いもん俺だけが見てりゃ良いんだからな。 あとでえっろいトコロにつけような」

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