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第64話

ダラダラとベッドの上で本を読んだりスマホを観たり。 そういう時間が1番早く過ぎていく。 「眠かったら寝ろよ」 「はい。 ありがとうございます。 けど、大丈夫です」 まだまだ緊張しっぱなしの1日を過ごしているのは見ていれば分かる。 メモをし、それを見返したりしている姿を見かけると、踏ん張れと願う。 教え子の頑張る姿は格好良く、だけど職業は決してホワイトではない。 だから、無責任に応援は出来ない。 けど、踏ん張ってほしい。 「どうかしましたか?」 「んー、学校じゃ触れねぇだろ。 今の内に触っとこうと思ってな」 髪に触れると三条はいじっていたスマホを伏せた。 そして、嬉しそうに頬を緩める。 「良いのか」 「田上からですから」 「田上が聞いたら泣くぞ」 「大丈夫ですよ。 俺の友達は優しいですから」 身体の位置までずらしてくれる三条は、にっこりと笑う。 確かに田上ならそんな細かいことは気にしないか。 三条をよく見ているが、お互いきちんと自立していて変に領域を踏み越えてこない。 サバサバしている関係にも思えるが三条と田上と吉田にはその距離感が丁度良いらしい。 仲の良い3人を見ていると羨ましいと思える。 それが距離感のバランスが丁度良い証拠だ。 「じゃあ、遠慮なく」 首の後ろへとてを伸ばし、顔を近付ける。 「ミントの味すんな」 「歯磨きしましたから…」 「俺もする?」 「はい」 「じゃ、もっかい」 読んでいた本を閉じ、イチャイチャと甘える。 こういう時間が1番早く過ぎるんだ。

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