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第66話

物真似。 恋人の自分だってみたことないのに、この学校の生徒達は見たのか。 知っているのか。 狡い。 羨ましい。 じゃなくて、一発芸だ。 「う゛ーん……」 本当に、どうしよう…… 準備室内を見渡しなにか考える。 その時に、椅子に座ったまま近くにやってきた長岡の右口端が僅かに上がった。 「…嘘なんですか」 「バレたか?」 「真顔で嘘吐くのやめてくださいよ…。 明日滑ったらどうしてたんですか」 「勿論、責任とりますよ」 長岡はトンッと三条の薬指に振れた。 「……っ!」 それから顔をうんと近付ける。 「あぁ、間違えた。 もう、責任とってるんだった」 「っ!!」 くくっと笑う長岡とは対照的に、三条は顔を真っ赤にしている。 「先生たち帰ってくるぞ」 「と、トイレに行ってきますっ」 「いってらっしゃい」 ヒラヒラと手を振る教師が恨めしい。

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