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第70話
波が落ち着くのを待っていると2年生から3年生へと顔がかわる。
たった1年、中には数日差で学年が分かれている訳だが、なんだか3年生の方が大人びて見えるから不思議だ。
三条の方が歳上なのだが、三条は顔立ち的にも未成年だとサバを読めそうなので混じっても案外分からなそうだと思う。
今度学生のコスプレでもしてもらうか
学ランかブレザーか…
ブレザーならスーツに似てるからワンチャンあるな
邪な考えを顔に出さず、教師の仮面を厚くする。
教職員にあるまじき下品な想像だが、バレなければ想像することは自由だ。
あとでネット見てみるか
「三条先生ー」
「よろしくねー」
春休み期間中に顔を合わせた男子生徒はヒラヒラと手を振った。
「こんにちは。
よろしくお願いします」
三条もにこにこと頭を下げる。
どっちが年上なのな分からない。
けど、誰にでも対等なのが三条の良いところだ。
「大丈夫そうですね」
「顔を知ってる方が居てくださいますから」
生徒たちの後に続き、長岡と三条は準備室へと戻る。
クラスを受け持つ五十嵐は不在だが古津もおり、淡々と雑務をこなす。
来週からは授業もはじまり忙しくなってくるので束の間の自分時間。
大切に雑務をこなしていく。
金曜日といっても新学期初日。
定時とはいかなくとも早く帰宅出来そうだ。
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