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第74話

キスはいつしか可愛いものから、官能的なものへとかわっていた。 舌を触れ合わせるのも、上顎を舐められるのも、もう何度もされてきた。 それなのに、何度しても恥ずかしいと思うのは相手が世界で1番愛してる人だから。 「恥ずかしいですから…、あんまり見ないでください…」 「その恥ずかしそうな顔、すっげぇ好き」 「サディスト…」 「知らなかったか? なら、試そうぜ」 軽口を叩きながらも、その声には本気の響きがある。 押し倒され、上に長岡が乗り上げてきた。 雄の顔だ。 学校で見ている爽やかな教師の顔とは真逆の捕食者の顔。 にやっと笑っても、下品ではない。 寧ろ身体が疼く…。 思わず腕に触れるとそのまま手を絡めとられる。 「手ぇ握られたい? それとも、押さえ付けられたい?」 「そうじゃ…、なく…て」 「そうじゃなくて?」 分かっているのに聴いてくるからサディスティックなんだ。 言わせたいって分かっている。 分かっているから、言ってしまう…。 「……なにも、準備とか…してなくて」 「んなの、後から一緒にすれば良いだろ。 それとも、飯が良いか?」 「ま…正宗さんが…いい、です…」 クツクツと笑顔が降ってくると、床に手を押し付けられながらキスを受ける。 ちゅっ、ちゅっ、と色んなところに。 それが、たまらなく嬉しい。 だからこそ、長岡の求める言葉を自ら紡ぐ。 そうしたいから。 首へと顔を埋めた長岡の髪が顎に触れるのが擽ったい。 そのまま鎖骨までいくのだが、服が邪魔らしくもう片方の手で襟ぐりを下げられた。 「痕、ほぼ消えてんだな」 先日のキスマークを指摘され、体温が上がるようだ。 マジマジと観察されているみたいだ。 そういう扱い方も……好きかもしれない。 「また付けても良いか?」 「きかないでください…」 「きかねぇと分かんねぇだろ。 遥登の嫌なことはしたくねぇし」 そう良いながらも、痕の上を舐めてくれる。 だから答えは、 「付けてください」 どうやら俺も、相当飢えているみたいだ。

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