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第85話
やわらかな肉を傷付けないように押し拡げる。
グリグリと指を動かす度にに三条は息を乱した。
その息に痛みは混じっていないか気にしながら、前戯を兼ねて解していく。
「……ん、……」
「痛くねぇか?」
「へ…き、です」
顔を隠したいのか腕に触れたまま、肩に額を押し付けてきた。
そんなのムラッとする。
恋人のにおいが濃くなるんだ。
体温も分かる。
早くその身体を貪りたいが、傷付けたくない。
時間をかけてゆっくりだ。
「…ぁっ、」
腰を揺らしているせいで自身からイイトコロに当てにいってしまった。
すぐに飲み込まれた声だが、しっかりと耳に届いている。
甘くて、上擦っていて、極上だ。
「気持ちい?」
「……、」
額をくっ付けたまま、こくっと動く頭に口元がにやける。
セックスの時に恥じらうのも奥ゆかしくて三条らしいが、素直なのもたまらない。
だって、こんな時にまで素直になるという事実を知っているのはこの世の中で自分だけ。
ご両親も、友達も知らない秘密だ。
マウントの類いではない。
ただ、その秘め事を共有出来ることが嬉しいんだ。
羞恥心の高い三条が素直になってくれるだけ、時間を重ねてきた。
それだけ隣にいることが出来た。
そのご褒美のような。
「指、増やすぞ。
息詰めんな」
「は、い……ぃ…」
2本目をぬるっと押し込むと先程より少しキツく締め上げた。
「はる、息吐けるか」
「ん、…ぁっ、」
「まだ指2本だぞ。
バテんな」
「ひさ、しぶりだから…」
もう片方の手で背中を擦ると乱れた息が落ち着いてきた。
それまで指は動かさない。
そんなことしかしてやれないが、とめてもやれない。
せめてもだ。
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