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第99話

長岡が隣に座ると肩になにかをかけられた。 視線を落とすとパーカーだ。 パーカー…? 今度は視線を上げる。 長岡と目が合うと、ん?と小首を傾げられた。 途端、すべてを理解した。 「あ゛……」 「見せつけてんのかと思った」 「見せつけてなんて…っ。 本当に、忘れてて…」 「家でどんなオナニーしてたんだよ。 俺に見せてる時は、はだけてるだけだったよな」 「ふ、ふつうです…。 あの、お見苦しいものをお見せしてしまって…」 「見苦しくなんかねぇよ。 すっげぇそそる」 大きな手が頬から耳にかけてを撫でる。 冷たくて火照った身体に気持ちの良い温度。 だけど伝わってくるのはあたたかいものだ。 「また見せてくれよ」 「それ、は…」 楽しそうな顔。 空気。 すべてが手を伸ばせば触れられら隣にある。 「……こんど」 「お、珍しい」 日時は決めなければ、多分…。 出来ると……思う。 飲むようにすすめられそれに従う。 春先の冷たい水が美味しく、一口、二口と飲み進む。 その一つひとつの行動を長岡はただ眺めていた。 きっと同じことを思っているのだろうと分かるのは、付き合ってきた年月の長さだけではない。

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