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第101話

「久し振りだな」 「……」 まぁ、ご機嫌そうなので良いのだが。 散々セックスしたのに後処理でも散々喘いでしまい、また水をもらっている。 飲みながら髪を乾かしてもらうという贅沢な暴虐ぶり。 こんな贅沢で良いのだろうか。 なんだか、長岡がいないと生活出来なくなりそうだ。 長岡とはずっと一緒にいたい。 人生を交換したからそれは絶対なのだが、そうではなくて。 自立して長岡を支えられるようにならないとそれはただの依存だ。 そんなのは絶対に駄目。 一方的なんて駄目だ。 少しずつ大人になって、長岡に頼ってもらえるようにならないと。 静かに決意を固めながら、また一口水を飲む。 「終わり。 飯の続き食うか」 「正宗さんの襟足も濡れてます」 「俺は平気だよ。 んなの、すぐに乾く」 「さっき俺が言ったことじゃないですか…。 俺のこと乾かしたんですから、正宗さんも乾かすんです」 ドライヤーを受け取り、座ってもらうと襟ぐりのところに引っ掻き傷が出来ていた。 しがみつくのに必死で、爪をたててしまったようだ。 「すみません…っ。 首のところ引っ掻いてしまいました…」 「ん? 気にすんなよ。 ワイシャツで隠れないところか?」 「隠れると…思いますけど、ギリギリかも」 「なんとでもなるよ。 気にしなくて大丈夫だ。 嬉しいしな」 「でも…」 やっぱり綺麗な人の身体に傷をつけるのは罪悪感がある。 綺麗であればあるほど。 傷さえ美しさを引き立てるものになるというのも一理あるが、今は申し訳なさが勝っている。 「なにしょぼくれてんだ」 「申し訳なさでいっぱいです…。 しかも子供ですし…」 振り向く長岡は身体の向きをくるりと変え、ポンと膝を叩いた。 「なら、キスしてくれ」 「キス…?」 「そ。 俺が元気出るから」 やっぱり大人だ。 気を遣わせない言葉選びに、対価となるものを差し出すように言ってくれる。 大人で格好良くて、優しくて。 一生涯憧れの人。 「はい」 小さなリップ音に続いて、長岡の嬉しそうな声が部屋に転がった。

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