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第102話

ドライヤーを片付けて部屋へと戻ってくると長岡は鍋に湯を沸かしていた。 「ラーメン食うか?」 「ラーメン!」 「塩で良いか? この前実家でもらってきたんだよ」 「俺が食べても良いんですか?」 インスタントラーメンなんて日持ちもするし、簡単に食べたい時には重宝する。 そんな非常食を自分が食べても良いものか。 顔を見ると、長岡はなに言ってんだとばかりの顔をしていた。 「俺が遥登と食いてぇの。 つぅか、インスタント麺くらいいつでも買えるっての。 どうせ、長期保存出来るのにとか思ってんだろ」 「それは…」 「セックスしてインスタント麺食って。 チープで良いじゃねぇか」 こういう飾らないところも好きだ。 誠実で、対等でいてくれる。 それを当たり前にしてくれるところも大好きだ。 「ありがとうございます。 では、お言葉に甘えさせてください」 「ん。 何袋食う? 惣菜は温めてるから食えるぞ」 「1袋で。 おかずもありますし」 バリッと袋を破るその手に浮く血管になぜか惹かれる。 そんなの学校でも見ていたし、今週だって沢山見た。 それなのに、なんだか今はもっと魅力的に見えるのはなぜだろう。 綺麗な顔から想像しにくい節だった指も、ポコッと浮き出た血管も、男らしくて格好良い。 長岡だから、そう思う。 「そんな待ちきれねぇか? 惣菜食ってて良いぞ」 「え、あ…大丈夫です」 「じゃ、3分待ってくれ。 出来たら一緒に食おうか」 「はいっ。 ありがとうございます」

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