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第103話
熱々のラーメンを入れた丼と惣菜が並んだ机。
その前に座ると手を合わせる。
「いただきます」
「いただきます」
セックスをしたことを除いても、この1週間を乗り切ったせいか腹が減った。
漸く気が休まる、とでも言えば良いのだろうか。
長岡がいると甘えてしまうかと思ったがそんなこともなく、毎日色んなことを教えてもらい、覚えることに必死だ。
来週からは本格的に授業もはじまる。
はじめての授業。
他のクラスと差が出ないようにペース配分にも気を遣い、だからといって早く進めれば良いという訳でもない。
その案配が分からないからこそ不安もある。
そういうことを経験してきて、今の長岡先生がいると思うと不思議だ。
ずっと大人だと思っていたけど、今の自分とそうかわらない年齢でA組を受け持っていたんだ。
本当にすごい人だと思う。
「なぁに見てんだ。
これ食いたいのか?
ほら、口開けろ」
「え、あ」
思わず口を開けると、菜の花のおひたしが口に運ばれてきた。
春の味だ。
「美味いか」
口元を抑えがら頷けば、長岡は満足そうな顔をして同じ物を自身の口へと運んだ。
飾らない姿は学校で見る姿とは違うけど、こちらも大好きな顔。
その顔が本当に綻ぶ瞬間は自分だけが見られるとっておき。
「たくさん食えよ。
足りなきゃ米もある。
ラーメンの汁に米入れんの美味いよな」
「美味しいですよね。
塩味だとチーズ入れてもギルティです」
「作ってやるから、腹一杯食え」
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