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第105話

「終わりました」 「ありがとう。 助かった」 「いえ。 洗い物くらいいつでもします」 「いつでも呼ぶぞ」 「はい。 お安いご用です」 実家に比べたら2人分なんて簡単だ。 「じゃ、お礼しなきゃな」 長岡の指が冷凍庫のノブにかかると、庫内からアイスが取り出された。 「っ!」 「期間限定の月見だいふく」 気になっていたアイスが目の前にある。 そして、それを手渡してくれる恋人。 三条の尻尾は分かりやすく大きく揺れている。 「嬉しいです! 半分こしましょう!」 「いいのかよ」 「はいっ。 もちろんです!」 すっかり冷めた飲みかけのお茶と一緒に食べようとわくわくで定位置に戻る後ろを長岡も歩く。 振り返れば隣に並んでくれた。 「安上がりだな」 「贅沢ですよ」 このアイスだって、来年は同じものが食べられるとは限らない。 そういう一瞬を恋人と味わえるなんて贅沢だと思う。 それに、今日は金曜日で明日は休み。 明後日も休み。 となれば、夜更かししたって良い。 長岡と一緒に、こんなにゆっくり過ごせるなんていつぶりだろうか。 それがとても嬉しい。

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