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第110話
「お、遥登のにおい」
「しますか?」
「する。
あ、くせぇとかじゃねぇからな」
段ボールを片付ける為に必要な分だけハンガーにひっかけていく。
その箱の中から自分のにおいがすると言われ、嗅いでみるがよく分からない。
洗濯洗剤のにおいだけな気がするのは自分のにおいだからか。
ただ、少しだけ弟のにおいもする気がする。
「着替え足りるか?
俺の部屋にパンツ溜まってたよな。
持ってきたら良かったな」
「あ、そうですね。
いつもお風呂いただいてそのまま洗濯してもらって…」
「俺のにおいのする遥登良いよな」
分からなくもないが、なんとなく生々しく感じてしまう。
好きな人と2人っきり。
長岡の部屋ではなく、自分の部屋で。
自分のテリトリーに好きな人がいるってだけでなんだか少しだけ意識してしまう。
「それにしても、トイレットペーパー1玉だけ持ってくるって遥登らしいよな」
「正宗さんが、1玉持って来ないとトイレ使えないって…。
それに、トイレットペーパーは買えば良いですし」
「うん。
俺が言ったな。
遥登の素直な好きだぜ」
クローゼットに片付けるぞ、とハンガーを持ち片付けていく。
ニヤニヤしている横顔を横目に段ボールを崩した。
真冬用のコートや服は実家に置いてきたままだが、夏用の服も持ってきた。
今ある着衣で秋まで乗り切れるはず。
「終わったぞ。
あと出来ることあるか?
トイレットペーパー買ってくるか?」
「……お願いします」
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