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第112話
受け取ったエコバックから冷凍庫へと居場所を移していく。
好きなアイスばかりだ。
それも半分こしやすいものや味違いで揃えられている。
こういうところも大好きなんだ。
「鴨南蛮か?」
「はい。
お好きですか?」
「好き。
美味いよな。
けど、本当に俺も食っていいのか?
ご両親が遥登の為に持たせてくれたんだろ」
「それ、正宗さんが言いますか?
いつも俺にご実家からいただいたの食べさせてくれるじゃないですか」
葱を受け取る長岡は複雑そうな顔をしたままだが、お昼は蕎麦だ。
甘えてばかりはいたくない。
今日は両親が持たせてくれたご飯だが、お給料をいただけたらきちんと返したい。
自分のお金で長岡の身体をつくりたい。
「俺が作った蕎麦は嫌ですか…?」
「変なとこまで成長してんじゃねぇか」
「ありがとうございます」
嫌と言えないことを知っていての言葉に恋人は眉を下げた。
「蕎麦湯がくので座っていてください」
「手伝う」
それなら、その言葉に甘えさせてもらい2人で用意する。
鴨肉の野性味の中に甘味のあるにおい。
その甘い脂で葱も焼き付けていく隣のコンロでは長岡が蕎麦を湯がいてくれていて、恋人の部屋より狭いので型がぶつかるのがなんだか新鮮。
「正直、鴨南蛮久し振りで嬉しい」
「本当ですか。
良かったです」
「ありがとな」
「正宗さんこそ、いつも用意してくれてありがとうございます。
これで、正宗さんにご飯食べさせられます」
「なんだよ。
そんなこと考えてたのか?」
「そりゃ、いつも甘えてばかりはなんか…。
遠慮なくこの部屋にも来てくださいね」
長岡は嬉しそうに頷いてくれた。
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