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第118話

「なんで正宗さんが洗い物するんですか…」 「そりゃ、部屋でも作ってもらった方が洗ってるからだろ」 「でも、買い物の足にしてしまったのに…」 「足って…。 本当、そういうとこ真面目だよな」 使った食器を流しに持って行ったはずなのに、水の音─それもどう聞いても洗い物をしていると思い、急いで自分の分の茶碗を持っていけば腕捲りした長岡が洗い物をしていた。 「少しゆっくりしたらどうだ? 段ボールの収集までまだ時間あるし、急がなくても気にしないなら昼寝したって良いんだぞ」 「別に段ボールのまま服を引き抜いても良いんですけど、正宗さんが来るなら綺麗にしてたいなって…」 女々しい発言だ。 部屋が綺麗だとか汚いだとか、そんなことで長岡は人を判断しない。 実家の自室だって特別物が溢れていた訳でもない。 けど、どうせなら居心地よく過ごして欲しい。 「俺の部屋見てそれ言うか?」 「正宗さんの部屋は本じゃないですか。 段ボールは圧迫感があると言いますか」 「素っぽいとこ見れて嬉しいけどな」 「……そういうとこですよ」 もう1歩近付き腕がぶつかりそうな距離に並び甘える。 それなら、少しだけそれに甘えても良いのかもしれない。 長岡とそうして過ごす時間はとても贅沢で、三条にとって必要不可欠になったものだから。

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