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第120話
ゴミを袋に詰めながら酒を飲む。
すると、そんな姿を見ながら三条はふにゃふにゃ笑っていた。
「なんだよ。
なんか面白いか?」
「家庭的なことが似合わなくて好きです」
「それかよ。
変なところ好きだな」
洗濯や掃除をしていても、三条はそう言う。
似合わないことをしているのが良いらしい。
なんとも独特な性癖だ。
感受性が豊かというか、想像力逞しいというか。
だからこそ、人の痛みにも敏感なんだろう。
「その顔が家庭的なことをしているのが良いんです」
「興奮すんなよ」
「してませんよ」
「本当かぁ?」
どうでも良いことほど共有したい。
そっちの方が楽しいと三条が教えてくれたから。
だから、小さなこと拾うし広げる。
いつかうざがられるまで。
そうだ、と思い出しポケットに手を突っ込む。
目当てのものを取り出し、恋人の手のひらに落とした。
「キャラメルです!」
「食おうと思って持ってきてたの忘れてた。
アイスも食い終わったし、食うか」
「ありがとうございます」
ビールとキャラメルが合うかは置いておいて。
なんとも古典的なことでデートを長引かせる。
それについては三条は笑わない。
同じ様に思ってくれているのが分かる。
そういう顔をして紙を剥がしているから。
「いつ食べても美味しいですね」
「ん。
美味いな。
今度はジンギスカン味でも買うか」
「え゛、あれは……」
「ははっ、すげぇ味したもんな」
家庭的だと笑った仕返しだと言えば、なんとも言えない顔をする。
ジンギスカン味のキャラメルは冗談だが、折角なら少しだけ甘えよう。
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