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第125話

「それは流石に…」 踊るのは恥ずかしいというか、照れるというか。 日常的に踊ることもないのでなんか気恥ずかしい。 人前で踊るなんて精々盆踊りくらいか。 あとは授業で少し。 そんな日本人の感覚だろうか。 そんなことを思いながらも口を濯ぎ、スッキリする。 歯磨きしたてはなにを口にしてもミント味になるが、これでなにも気にせず口に出来る。 飲み物も有り難く飲ませてもらおう。 受け取ったタオルで口元を押さえようとした瞬間、影が重なった。 「っ!」 すぐに、ニッと口端を上げた恋人の顔が映る。 「歯磨きしたら良いんだろ」 「子供みたいです」 「知ってるだろ」 早く部屋に戻って観ようぜと手を引かれる。 すごく大人の人なのに無理をしていない。 等身大で、そんな姿が見られることがなんだか嬉しい。 「知ってます。 そういうところも好きです」 「お、朝から良いもん聴けるんだな」 「良いもんって…。 たまには言いますよ」 ソファに腰を下ろす長岡は、引いたままの腕を引っ張った。 ポスッと抱き止められるのは広い胸。 なんとか膝がのった場所が長岡の股間から離れていて、踏まずに済んだことに安堵する。 「たまには良いだろ。 遥登あったけぇし」 「……今日だけ…なら」 昨日はあれやこれやと部屋の片付けを手伝ってもらったり、買い出ししてもらったので、長岡本人が良いのなら甘えよう。 ……すごく恥ずかしいけど。

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