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第132話

隣の顔はふにゃふにゃだ。 なんでかって、きっと目玉焼きだろうな。 遅い昼飯は焼きそば。 いつものスープ。 それだけでは申し訳ないので目玉焼きを焼いているのだが、隣でこんな顔をされるとたまらない。 愛情を注がれた顔。 愛情を注ぐ顔。 小学生の感想文みたいな感想しかでてこない。 「久し振りですね」 「久し振りだな。 上手く焼けるか保証はねぇぞ」 「俺のために焼いてくれたんですからプライスレスですよ」 「んなこと言っても目玉焼きが増えるだけだぞ」 蕩けるように笑い、自分をしあわせにしてくれる。 そんな子をしこたま甘やかすのは至極楽しい。 「甘やかし過ぎですよ」 「そうか?」 白身の縁だけがカリッとしてきたら盛り付けた焼きそばの上にのせる。 たまごは生で食えるから半熟よりやわらかくても困ることはない。 それに、早くしないと麺が冷めてしま……三条には丁度良いのか。 「美味しそうです!」 「冷めない内に食おうぜ。 昨日の残りも食ってくれ。 後で買い物行くし」 「甘やかし過ぎですよ」 「そうか?」 同じことを繰り返してもイラ付かないのは、相手が三条だから。 自覚はあるが、本当に心の底から愛おしいと思っている。

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