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第133話
「いただきます」
「いただきます」
先に箸を付けないと三条も食べないのでスープを飲む。
ガラスープなんて適当に入れるからいつも味がマチマチだ。
今日は薄くも濃くもない。
冷凍の葱がないからわかめだけだが、三条は美味そうに飲んでくれるので有り難い。
口が潤うと次は焼きそば。
ソースをべっとりと纏った麺と野菜を箸で掴み上げると、隣で三条はにこにこと目玉焼きを見ている。
「えっちですねぇ」
「なんで目玉焼きにだけ、その表現すんだ。
俺には照れんのに」
「え?
正宗さんは、えっちってよりいやらしいの方が表現として似合ってますし…」
「ふぅん?」
恋人にいやらしいと言われて悪い気はしない。
そりゃ、そうだろ。
好いた相手だ。
「嬉しい…んですか?」
「なんでそう思う?」
「顔が嬉しそうです」
勤務時のように顔をつくっていたつもりだが、バレたか。
本当に人をよく見ている。
だからこそ、教職員で苦労をしそうなのだが。
他人と自分の線引きを上手くしている印象はあるが、例えば自分の受け持ちクラスとなれば話はかわってくるだろう。
かわった大人や子供はそこら辺にいるから。
とはいえ、それは三条の良いところだ。
大変そうだからと変えてしまうのは違うだろう。
今年度は学校でも近くでみていられるので少し気にすべきか。
…いや、信じきらないのも不誠実か。
こればかりは難しい問題だ。
「嬉しいよ。
褒められてんだからな」
「褒め…てますけど」
「遥登は、俺にえろいって言われて嬉しくねぇの?」
「嬉しいです…」
「だろ。
だから、嬉しいよ」
あんまり納得してなさそうな顔だが、焼きそばを食べたらすぐにふにゃるだろう。
そういうところも愛おしい。
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